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 淡墨桜の下で

亡父の法名をそっと呼んでみる
たましいの行き先はさくらのはなびら降る辺り、ほの白く透き通り光る
あなたが逝って四半世紀、あれからの長い時間、長い影が伸びている
わたしはわたしの影の置き場をまだ探している

淡墨のにじむような夕暮れ
作務衣の父の、背の残影がふいに立ちあがる
触れようとすれば遠ざかる、たましいとはいのちとは、春愁の底

はなびらいちまい舞い落ちるたび、わたしの中の古い痛みがほどける
父の笑みが淡く立ちあがる
声にならない声がわたしの胸を叩く
あれからずっと、あなたに向けるコトバを育てている

たましいは風のように、形を持たず
掌で受け止めようとするけれども

はなびらの薄い色は 父の沈黙と似ている
その静けさにわたしは救われる

コトバを並べてみても父には届かない
それでも春はわたしをこの桜のもとへ連れていく

淡墨桜の空へ声を放つ
父よ
この桜の下で、あなたもわたしもやっとやわらかく息をするのだろう

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