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和歌山よみうり文芸 7月29日掲載分
一人暮らしクモゴキブリが同居人          和歌山 佐古 立子

【評】「クモ」「ゴキブリ」という具体的な虫の名が生活感を呼び込む。いつも近くにいる存在として虫たち「同居人」が嫌悪の対象ではなく、むしろ友であるかのように感じている。ユーモアのある句だが、どこか諦念や孤独も感じさせる。

和歌山よみうり文芸 6月3日掲載分
ドクターの言葉ひとつがとる痛み               和歌山 高   好

【評】「ひとつ」が効いていて、「たった一言でいい」というニュアンス。医師の言葉は、患者にとっては診断であるが救いにもなる。「とる」を平仮名にしたことで、物理的な痛みと心の痛みの両方が柔らかく伝わる。

和歌山よみうり文芸 6月10日掲載分
日記帳昨日のことがもう書けぬ                和歌山 近藤 圭介

【評】書けない理由を説明しないことで、読み手の想像が広がる。「日記帳」とは、事実を書くと同時に気持ちを整える場所でもある。たんに記憶力の衰えを嘆いた句なのかもしれないが。どうしようもない諦めと寂しさが滲む。

和歌山よみうり文芸 5月13日掲載分
生き方を教えるようにかすみ草                広 川 中平 和男

【評】かすみ草という控えめな花を前にして、そこに人生の指針のようなものを見ている。存在を主張しない静かな強さ、とでも言うべきか。大きく華やかな花の後ろにそっと寄り添う、その花が「生き方」を気づかせてくれたのだ。

和歌山よみうり文芸 7月1日掲載分
「御無沙汰」とお隣さんにご挨拶                 和歌山 横浜 倫子

【評】「御無沙汰」はやや硬い表現。それを「お隣さん」に向けて使うということで、近いのに少し距離があるという微妙な関係性が覗く。ふだんの生活のリアルがにじむ句。軽いユーモアと人間味が、微笑を呼ぶ。

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