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前田咲二遺句集 平成11年』❽
年齢もウソ 独身も嘘みたい
ぼくの生年月日にぼくが惚れている
嫁の手へ渡すややこのお年玉
じゃんぼ籤も罰もあたらず年が明け
男ひとりの暮らしにもどる七日粥
内需拡大しすぎた正月の財布
餅箱へ転がす餅が生きている
優しく叩いてワインの樽を眠らせる
一人よし二人またよしロゼワイン
いい男だと自分から言えますか

直言をしてから重い石を抱く
時々は疼く男の向こう傷
家族会議みんな揃ったことがない
子を連れているので赤で渡れない
男運いい耳をしたぼくの妻
あくびした口から逃げていった運
首筋をつまみ男を丸洗い
ライバルの絵馬よりすこし上に吊る
ニンゲンが作った核というおもちゃ
若乃花の足はがっちり砂を噛む

五輪の輪ほぐすとゼニがこぼれ落ち
夜をほぐしてわたしの横に侍らせる
わたしの視野を横切るうらぶれたわたし
五輪マークが黒い鎖に見えてくる
ありがとうとそのうち妻に言うつもり
へそくりを挟んでおいた本がない
大物で堂々とした国訛り
松根油 勝つと信じていた戦
首に掌を添えて痴呆の母を抱く
竹島という刺がある日本海

不況という鬼が立ちはだかっている
支持率が上がるとみんな寄ってくる
本心を確かめている握手だな
亡母さんの香りを探すたとう紙
紫の贅を流した茜雲
これ以上省くとぼくが居なくなる
足並みが揃うと道を見失う
直立不動を忘れぬ七十の背骨
己とのいくさそろそろやめにする
死に顔を見にライバルはきっと来る



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