川柳の横綱・前田咲二遺句集(平成9年)【32】‥《鬼になり切れず仏になり切れず》
※2月いっぱいで抄出を終えるため、急いでいます。2月28日からの台湾、楽しみにしているのね。台湾川柳会の大会出席が目的ですが、その前後はいつも通りの吟行。なにに焦点をあてて詠むか、いくつか考えておかないといけない。一昨年12月のインド吟行を思い出す。小さな花かごのロウソクに火を点けてガンジス川に流...【続きを読む】
川柳の横綱・前田咲二遺句集(平成9年)【31】‥《水の底を水が流れている輪廻》
※2月いっぱいで抄出を終えるため、急いでいます。手元に届いている作品は、平成4年から平成17年まで。十四年間の作品の抄出がもうすぐ終わります。たぶん先生の寝屋川のお家に残っているだろう平成18年以降の作品が気がかりです。遺されているはずの俳句や短歌も抄出してまいりますので、ご遺族の方がここをご覧にな...【続きを読む】
川柳の横綱・前田咲二遺句集(平成9年)【30】‥《一生の半分ほどを酔っている》
※2月いっぱいで抄出を終えるため、急いでいます。先生の題詠の作句は、一題につき五句くらいまで。句会の席で詠んでおられたことも。いたずらっぽく笑いながら見せて下さることもあり、そんなときの句は秀句か、そうでないときも上位に入選していました。師弟ではありますが、あきこ選では手を抜いているような句は没にさ...【続きを読む】
(2019/1/21) 堺番傘1月句会‥《水音も兆しか 欠けてくるわたし》
南海和歌山市駅10時29分発特急サザンで天下茶屋、高野線で堺東まで。改札を出てすぐのサンマルクカフェにてコーヒー&サンド(ぷりぷり海老&たまごポテト)の昼食。あと、いつものように句の推敲。昨夕ドトールにてと、帰ってから詠んだ4題計113句。13時前に出て、徒歩5分の東洋ビルディング4Fまで。明子、...【続きを読む】
川柳の横綱・前田咲二遺句集(平成9年)【29】‥《激情のぼくを仏と人は呼ぶ》
※2月いっぱいで抄出を終えるため、急いでいます。先生のたましいは、真っすぐ春風のような詩人のたましいでした。響き合ったのは、その部分。ご自分同様に俳句から短歌(わたしは短歌から俳句)、さいごに川柳に辿りついたわたしにこころを許し、大切にしてくださった。後継者として育ててくださった。年齢とともにだんだ...【続きを読む】
川柳の横綱・前田咲二遺句集(平成9年)【28】‥《たったひとりの岬に海が広すぎる》
※2月いっぱいで抄出を終えるため、急いでいます。一昨年の9月4日、先生からの最後の電話を忘れることができません(9月27日に亡くなられたのね)。「瀞峡へ行くんか。ええとこへ行くんやな。おれも行きたい」と叫ぶようにおっしゃった先生。瀞峡で、海軍兵学校当時の友人たちと四人で舟を漕いで遊んだ話をされたのね...【続きを読む】
川柳の横綱・前田咲二遺句集(平成9年)【27】‥《雪の上にふんわりと置く花手桶》
※2月いっぱいで抄出を終えるため、急いでいます。もし戦争がなかったら。先生の人生は違ったものになっていたでしょう。俳人あるいは歌人として大成しておられたかもしれない。長く超えられないと思っておられたほどの父上(芋仙、俳人)の文才はいかほどのものだったのか。どこかの俳誌に遺されているようであれば、見せ...【続きを読む】
川柳の横綱・前田咲二遺句集(平成8年)【26】‥《ひとりの部屋で夜を一枚ずつ剥がす》
※2月いっぱいで抄出を終えるため、急いでいます。平成8年分はこれで終わりです。
『前田咲二遺句集 平成8年』【26】
人の名が脳のすきまにからみつき
家計簿の小さな嘘は許される
ぼくのくすりコーナーがある冷蔵庫
やーめた 鬼が探しにこないから
ひとりの部屋で夜を一枚ずつ剥がす
直立不動の姿勢で並ぶ兵...【続きを読む】
川柳の横綱・前田咲二遺句集(平成8年)【25】‥《美しい嘘だな騙されてやろう》
※2月いっぱいで抄出を終えるため、急いでいます。先生はとても頭のよい方で、いつも穏やかでやさしく冗談好きなのですが、しっかりと相手を見抜いておられるところがありました。日本通運の部長にまでなられた方ですから、社会経験によるところもあるでしょう。相手を見抜いたうえで対応を考えられるのね。少々のことは、...【続きを読む】
川柳の横綱・前田咲二遺句集(平成8年)【24】‥《一汁一菜こころに守るものがある》
※2月いっぱいで抄出を終えるため、急いでいます。先生はふだん自炊をしておられました。京阪寝屋川市駅で降り、たまにイズミヤでの買い物にお付き合いすることがあったのです。慣れたようにカートを押してさっさと買い物をしていかれる先生は当然物価を知っておられ、そのことを時事川柳の選にも活かしておられました。
...【続きを読む】
川柳の横綱・前田咲二遺句集(平成8年)【23】‥《わたくしを抱いているのは神だろう》
※2月いっぱいで抄出を終えるため、急いでいます。
『前田咲二遺句集 平成8年』【23】
ふるさとの痩せ田を守るあばら骨
相談は体裁だけと知っている
職安で期待が一つずつ消える
夢夢夢 光陰の矢が速すぎる
価格破壊のパンツを一つ買うてくる
国会へ記憶の悪い人を呼ぶ
ぼくの地図から妻がときどきいなくなる...【続きを読む】
川柳の横綱・前田咲二遺句集(平成8年)【22】‥《よろこびが爪の先まで咲きこぼれ》
※2月いっぱいで抄出を終えるため、急いでいます。
『前田咲二遺句集 平成8年』【22】
切り餅のうすさも老母の苦労性
お世辞ぬきできれいとお世辞いうてはる
去年きたから出したのに来ぬ賀状
旗の波 そして笑顔が還らない
今年こそはと書きそのあとが浮かばない
捕鯨禁止の町で無口な老砲手
合格の電報いまも...【続きを読む】
川柳の横綱・前田咲二遺句集(平成7年)【21】‥《来年の花をいっぱい胸に蒔く》
※2月いっぱいで抄出を終えるため、急いでいます。平成7年はこれで終わりです。
『前田咲二遺句集 平成7年』【21】
藁一本握る拳が熱くなる
みんな優しくてこのごろ物忘れ
お亡母さんほらほらあれはだれだっけ
間違えるならもっといい靴はいてきて
オーレオレオレ比叡おろしが吹き荒れる
家屋補修のビラがわが...【続きを読む】
川柳の横綱・前田咲二遺句集(平成7年)⓴‥《七人の敵へ七つの意地がある》
※2月いっぱいで抄出を終えるため、急いでいます。一度だけ先生に「あんたも、たたかえ」と言われたことがあるのね。現瓦版の会代表(会長)に悪意を込めたあり得ないことばで恫喝され、しばらくして先生に会を退くことをご相談したのね。そのとき。折角の長いご期待に添えないことは心苦しかったのですが。先生のご落胆も...【続きを読む】
川柳の横綱・前田咲二遺句集(平成7年)⓳‥《みかんがのっている母さんの置き手紙》
※2月いっぱいで抄出を終えるため、急いでいます。「先生は、俳句とか短歌をもっとやりたかったんじゃないの?」との問いに、「そうなんや」と口惜しさをにじませたお返事。寿命には限りがあるので、あれもこれもというわけにはまいりません。三十代で毎日新聞の「毎日俳壇」や「毎日歌壇」で毎週のように特選をとられた鬼...【続きを読む】
川柳の横綱・前田咲二遺句集(平成7年)⓲‥《過労死を夾竹桃は知っている》
※2月いっぱいで抄出を終えるため、急いでいます。多くの句を読み込み写してまいりますと、亡父母に対する先生の思いの深さが沁みてまいります。ことにご苦労されたらしい母上に対する感謝と思いの深さ。
『前田咲二遺句集 平成7年』⓲
骨は拾ってあげる年金見返りに
一徹だった父真っ白に焼けました
亡父の仕草で柱...【続きを読む】
川柳の横綱・前田咲二遺句集(平成7年)⓱‥《戦艦ヤマト 地球は青い色でぬる》
※2月いっぱいで抄出を終えるため、急いでいます。かつて演歌の女王美空ひばりが七色の声をもつと言われましたが、先生も七色を駆使して句を詠まれた。器の大きさとでもいうのでしょうか。時事川柳あり、ユーモア川柳あり、文芸川柳あり。「句の幅を広げるためにも時事川柳も詠んでごらん」とあきこに言われたのね。
『前...【続きを読む】
川柳の横綱・前田咲二遺句集(平成7年)⓰‥《橋渡るまでは確かにあった虹》 平成7年に入ります
※2月いっぱいで抄出を終えるため、急いでいます。川柳には、当然フィクションも入る。何通りもの人物になり、また動植物にもなって詠む。すぐれた川柳は一篇の掌編小説にまさることもあるでしょう。その中に作者のたましいや叫びや願いが込められてくる、そうしたもの。
『前田咲二遺句集 平成7年』⓰
えべっさんらし...【続きを読む】
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