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寢転べば疂一帖 ふさぐのみ‥‥‥‥麻生路郎
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父を想う(続き)
(中略)
私達一家がたべられないとき、お世話になったわけではないのに、私は思わずその人の前で泣かずにおれなかった。私はこの口惜しさを永い間かみしめながらも、父の存命中にはやはり云うことは出来なかった。私が今こう云うのは決して川柳家に弓を引く気持ちで云うのではない。川柳をお金儲けの道具にして来たのではないと云うことを亡くなった父のためにも、また残された私達のためにもわかって貰いたいと思うだけである。父が川柳以外のものすべてを捨てる気持でこの道を選んだとき、私達はまだ幼くて父の行動をとやかく云うべき力もないまま知らずに引き込まれた世界ではあったが、成人してからは父に対する批判も持ち、子供としての立場も主張した。
(中略)
私は父に色んな形で反抗した日もあったし、口論するようなこともあった。あの気の強い父が本当に涙を流して「済まなかった。もう川柳は止める」と云って泣いたことを今もまざまざと思い出す。(続く)



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