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尾藤三柳 句集 これから、空いた時間に大家の作品をしっかり読んでいこうと思う。尾藤三柳先生の句集は一冊しか手元にはないが、くり返し味わってみたいと思う。
 作句ばかりしていると、他のことが全くできなくなる。能力の一部が欠けてくるのか、整理整頓にいたるまでいい加減になるなど影響があるようだ。これを努力して元に戻せば、こんどは句が詠めなくなるのだろうか?
 とまれ『千句』を出したことで、どこか安堵の気持ちがある。いまここで死んでも(?)、川柳で一応の仕事は残したという安堵。この句集の評価がこれから定まってくるのかどうかは分からないが、分かる人には分かる、というほどの自負はある。これからは、空いた時間で読む方に回らないといけない。現在までに出た句集で、これはと思う句集があれば教えていただきたいものである。
 下記は尾藤先生の20句。先人の句を味わい尽くしてこそ、川柳の明日がある。
‥ ‥ ‥ ‥ ‥ ‥ ‥
尾藤三柳(川柳作家全集)より
鉛筆を削るみじめの尽きるまで
逢う愛す憎む別れる 風のなか
包みがみ包みなおすと包めない
救急車ついに死神を抜けず
こぶしひらいてもなにも無いかもしれぬ
トタン屋根猫がまずしい音にする
小便がまっすぐに出て死にきれず
ぽきりぽきりとてのひらの虹を折る
手を楽にさげて失うものはない
わが面をさいごに残す面作り

ビフテキが焼けて祖国が遠くなる
蒼天の涯(はて)からひたひたと殺意
ほんとうの力で抱けばかなしかり
秋の書舗ここで討死したくはなし
一子相伝暝(くら)い眼窩を積み上げる
床の間に積む累代のあばらぼね
詩くず歌ほぐ流水は日に新た
風邪の銀座の狐火がうつくしい
影から始まる老醜を踏まれている
川柳が芽吹いて江戸が江戸になる



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