手のなかに師・前田咲二⓫‥《くろもじで甘い言葉を切り刻む》(前田 咲二)
『前田咲二遺句集 平成11年』⓫
添削の赤鉛筆にあるぬくみ
指人形の感謝は指を深く折り
恢復期 潮はゆっくり満ちている
選抜の子らにきらめく甲子園
六法をひもときこころ広くする
誰に貸したか失楽園が戻らない
ハードルを下げて流れに逆らわず
もう何も言うなこころが鈍るから
口で言うても目で叱っても直ら...【続きを読む】
手のなかに師・前田咲二❿‥《わたくしの干潟が満ちるまで遊ぶ》(前田 咲二)
『前田咲二遺句集 平成11年』❿
流木を拾って塩を焚いた日よ
妻がぼくを呼び捨てにするときがある
盛り塩の白さが客を呼んでいる
天国でつける仮面を選っている
絞首台へ上る背中は本物だ
横道にそれると見えるかぜの彩
底の底あたりで神と手をつなぐ
陽を信じ土を信じて種を蒔く
愛告げてからの空気がぎこち...【続きを読む】
手のなかに師・前田咲二❾‥《騙し絵の中にかくれているわたし》(前田 咲二)
『前田咲二遺句集 平成11年』
貸金庫に遺言状を入れてある
酒が出て軽い話になってくる
香奠と思って払ろてくれないか
年の離れた女と春の歩を合わす
お産休暇くれと男が言えますか
こんなわたしを好きとはけったいな女
耳に穴あけて男が弱くなる
猫も男も恋に嵌って戻らない
別れ際のことばが胸にひっかかり
...【続きを読む】
手のなかに師・前田咲二❽‥《死に顔を見にライバルはきっと来る》(前田 咲二)
『前田咲二遺句集 平成11年』❽
年齢もウソ 独身も嘘みたい
ぼくの生年月日にぼくが惚れている
嫁の手へ渡すややこのお年玉
じゃんぼ籤も罰もあたらず年が明け
男ひとりの暮らしにもどる七日粥
内需拡大しすぎた正月の財布
餅箱へ転がす餅が生きている
優しく叩いてワインの樽を眠らせる
一人よし二人またよし...【続きを読む】
お待たせいたしました‥本日から「前田咲二遺句集 平成11年」の選句を開始
選句の途中で気付いたのは、先生は没句を捨てていないということ。入選するまでなんども同じ句を出しておられる。なんどか没になった句の中に、非常に優れていると思われる句もある。句は、選者を選ぶということだろう。
毎日起床後、まずパソコンを立ちあげ、眼が元気なうちに選句に入る。すべて終えるにはどのくらい...【続きを読む】
川柳塔わかやま吟社10月句会(2018)‥《弁当の途中でひろう着信音》
「前田咲二遺作集 平成10年」分の抄出は、昨夜で終了いたしました。本日川柳塔わかやま吟社でひと月ぶりの柳友たちと楽しんでまいります。
平成10年度の先生の句会出席数は112回。お預かりした自筆の稿に遺されている句は、没句も含め千数百句。抄出したのは、210句。
誌上大会出句分などはお預かり...【続きを読む】
手のなかに師・前田咲二❼‥《気心を許し外濠埋められる》(前田 咲二)
『前田咲二遺句集 平成10年』❼
伸び切った輪ゴムの中に妻と居る
夫婦別姓 首輪が少し軽くなる
スランプの形で髭が伸びている
マツタケにもカニにもぼくは不感症
うどんのネギ多いと幸せと思う
外野席の主張を一つずつ拾う
鹿の脱糞 ぽとりと冬が静止する
鹿の瞳に静かな刻が流れている
名人の芸のかけらも見...【続きを読む】
手のなかに師・前田咲二❻‥《環状線の秋を一駅ずつ拾う》(前田 咲二)
『前田咲二遺句集 平成10年』
神様がいいと言うまでただ歩く
歩き疲れて仏の膝をお借りする
使い捨てカメラで軽い恋を撮る
肩書きを捨てて自分が見えてくる
新聞をがつがつ食べている戦士
ポケットでショックを握りしめている
残り時間を刻むわたしの万歩計
秋を逢う訣れことばをてのひらに
男ひとり皿を汚さぬ...【続きを読む】
手のなかに師・前田咲二❺‥《池に鹿 魁夷の森に迷い込む》(前田 咲二)
画:東山魁夷 (描かれたのは、御射鹿池)
『前田咲二遺句集 平成10年』❺
本当の自分を探すまで流れる
利休茶碗を抱くやんわりとしっかりと
やんわりと妻が握っている尻尾
涙に弱い男とすぐに見抜かれる
教会で会った男と寺で会う
母を描けば弥勒菩薩になるだろう
同期の桜歌うといつも泣く男
爽やかな退き際...【続きを読む】
手のなかに師・前田咲二➍‥《小島功のカッパが酒をつぎにくる》(前田 咲二)
『前田咲二遺句集 平成10年』➍
心冴える刻をしずかに待つ匠
焼き芋を包むやっぱり新聞紙
疾しいところがなければああは騒ぐまい
ひもじくて田辺聖子を食べている
胃カメラに見られるぼくの不行状
わがままなわたしがしゃしゃり出て困る
馴れそめも別れも傘は知っている
ニンニクの臭いチャンスをふいにする
古...【続きを読む】
手のなかに師・前田咲二❸‥《五十年 夫婦に削るものがない》(前田 咲二)
『前田咲二遺句集平成10年』❸
袋絵の花を信じて種を蒔く
トーストも愛もこんがり焼いてます
蕾のうちに摘まむ情けもあるのです
千の手に千の閃き千の迷い
その話聞き捨てならぬ 猪口を置き
さくらさくら亡母にもあげる小盃
口縄坂の雲織田作の顔に似る
年金の暮らしに義理が重くなる
逃げ上手も誘い上手もいる...【続きを読む】
高野山・壇上伽藍吟行20句(2018/9/19-20)‥《声明の透明 目瞑ればきのう》(推敲中)
前田先生の句を拾うのは、ゆっくりしているとこれからの私の余白の時間的にも厳しいものがあるので、毎日30句と決めて挙げてまいります。だいたい夜中から早朝にかけて仕事をしてまいりますので、これから一日に二度ブログをアップしていくことになります。
がんばれるだけがんばりますが、途中アップできていない...【続きを読む】
手のなかに師・前田咲二❷‥《たぐり寄せてみればわたしの影だった》(前田 咲二)
先生は、お会いした傘寿(少し前)ですでに左目が見えなかった。右目も、眼の中にタマがあるとかで、そのタマに遮られて披講にいつも少し時間がかかった。そういうことを感じさせない身のこなしは、江田島の海軍兵学校仕込みのものだったかもしれない。戦後は日本通運に就職、経理部長をさいごに退職されたと伺っている。...【続きを読む】
(7日)阪南10月句会‥《逝ったひとを踏む忘恩の影だろう》
(8日、記す) 7日。目を覚ましたら、なんと9時。予定していた川柳クレオの大会をあきらめる。(ゴメンね、正人さん。昨夜、なんばの喫茶店で65句詠んでいたのよ) そこへ電話、それではと阪南句会に出かけることに。お題を教えてもらって、半時間ほどで4題43句。(↽超スピード!) 11時半に車で迎えにきても...【続きを読む】
第24回 川柳塔まつり‥《カラフルを咲かせてわたくしの孤独》
(8日、記す) 6日。早朝大雨。大会出席をあきらめようと思ったが、前日ある柳人から前田咲二先生の資料を持ってきてくださるというお電話をいただいていたので、迷っていた。そのうち小降りに。和歌山市駅8時59分発特急サザンで天下茶屋、大阪メトロ堺筋線で日本橋、千日前線で谷町九丁目まで。コンビニでパンケーキ...【続きを読む】
手のなかに師・前田咲二❶‥20年前の作品30句を抄出
すこし休んで気力が整った(充実、とまではいかない)ので、昨夜前田咲二先生自筆の遺作(出版社から先月19日付けであきこ宛てに段ボール箱入りで発送され、翌日受け取ったもの)を手に取り、拝見。本日夕方ドトールに持ち込んで、集中的に選句にかかる。先生は入選句も没句もきちんと残しておられる。
なつかしい先...【続きを読む】
文芸まつり(和歌山市)審査会
13時半から市民会館にて。小・中学生の部の応募句から十三句を選び出し、パソコンに入力。比べやすいようにプリントアウトしたものを持参、ほかの選者二名にも見ていただく。一般の部もあきこを含む七名の選者で討議の上、上位入賞者が決定。
審査会(短歌・俳句・川柳・詩・散文各部門)終了後、五名にてコーヒー、...【続きを読む】
川柳クリニック Vol.19 No.01(川柳マガジン9月号から転載 川柳クリニックDr. : たむらあきこ)
原この磁石辛い記憶を倍に寄せ 丸山 孔平
不要と思われる「この」「倍に」を省きます。
添辛い記憶ばかりを引き寄せる磁石
原目立つ事内緒にしたいでも洩れる 松田 眞弓
内容的に芯を残して枝葉を切り、まとめます。
添内緒にしたいことほど口の端に上る
原弱点があっていいよと肩たたく 松本 理子
「が...【続きを読む】
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