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1996年8月「月刊川柳大学別冊」時実新子の世界に掲載された「時実新子自選百句」から抄出。(写真右:むつ市川内地区にある文学碑)
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雨の日のダイヤル通じそうで切る
どうぞあなたも孤独であってほしい
一念は両手に櫛を持つごとし
わたくしは遊女よ昼の灯を点し
死に顔の美しさなど何としょう
君は日の子われは月の子顔あげよ
いちめんの椿の中に椿落つ
一つだけ言葉惜しめばまた逢える
鳥籠へ男を返しほうやれほ
抱かれざる妻のうすむらさきの骨
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1929年生まれ。『有夫恋』がベストセラーとなったのは1987年。1963年の『新子』刊行以来(事実か否かは措いてあまりの迫真性に)不倫を詠んだ川柳ということで不貞川柳などと言われ、誹謗中傷を受けたこともあったとか。「川柳界の与謝野晶子」と呼ばれたということも解る。短歌の中城ふみ子が女の「性」を詠んだ『乳房喪失』が世間の耳目を驚かせたのは『新子』よりさらに9年を遡る。2007年3月10日死去。
上記10句をいま読んで、(不倫という)内容はともかく、句にインパクトはあるがいささかの陳腐は否めない。有名な、文学碑にもなっている「君は日の子われは月の子顔あげよ」なども、いまとなっては読むほうで腰が引けはしないか。
女の側からの「性」をあからさまに詠んだのはよいが、小道具(?)に「櫛」から「遊女」までもってくるのは、余りにも(女の)「性」を強調し過ぎているために、どこか作りごとめいて感じられなくもない。虚構の、(男が望む)女を演じる女優を見ているような気がする。良くも悪くもエンターテインメント性がベストセラーに繋がったのだろう。
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