言葉の遅かった息子に、発語を促すため幼児の頃ピアノを習わせていた。1年余り教室に通って、あとは私がついて消音の電子ピアノでバイエルや唱歌などを弾かせていた。4年生頃から学校の先生に頼まれて、入学式や卒業式のピアノ伴奏をずっと引き受けていたようである。
「習ってもなかなか弾けないのに、習わないで弾けるんやね」と先生方に羨ましがられた。5年生から本格的に習い始めて、習う先生も次第にグレードアップ、日本でも屈指の音大の教授に師事。才能を惜しまれたが、その後経済的な理由で中学3年生迄でやめることに。本人にも私にも深い心残りはある。
息子は国立大学、大学院まで奨学金で進み、いまは東京在住、ITシステムエンジニアをしているが、ときどき借りてピアノを弾いているらしい。目を閉じると息子がよく弾いていたベートーベンの「月光ソナタ」が聞こえてくるような気がする。
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