ピースボート川柳講座🚢
講師:たむらあきこ
★★川柳という文芸について
―一行詩(川柳・短歌・俳句)についてー
日本では、明治になるまでは〈詩〉といえば漢詩を指していた。文学の一形式として〈詩〉の語をつかうようになったのは『新体詩抄』などから。
詩の定義については、詩を定義しようという試み自体が見当違いであるとした、アーチボルド・マクリーシュ(1892-1982)『詩論』の詩につぎの結びがある。「ⓐ詩は意味してはならない/存在するのだ」。
詩には直喩や隠喩(メタファー)などの修辞技法がある。古代ギリシアの哲学者アリストテレス(前 384-前 322)の『詩学』には、「ⓑ何よりも偉大なことは隠喩の名手であることだ」と書かれているとか。隠喩は鮮明なイメージを結ぶ。(現代川柳では)思いがけないイメージを並置させることが句を重層化させることにつながる。また、隠喩の鮮明なイメージには象徴性がある。
川柳とおなじ五七五形式でも、俳句は 17 世紀に俳諧における連句の最初の句である〈発句(ほっく)〉から発展形成された詩型。俳句には切れ字と呼ばれることばの流れを切る語が用いられ、また季語と呼ばれる季節のことばが含まれている。
短歌は、〈5-7-5 7-7〉の型に構成された、5 つの部分からなる詩の形式。前半の〈5-7-5〉(上の句)と後半の〈7-7〉(下の句)のあいだで調子や題材に転換があるのがふつう。奈良時代に、それまでは中国から借用した形式による詩がほとんどだったが、そこから抜けだした。13 世紀までに短歌は日本のもっとも有力な詩型となった。連歌といわれる多人数による短歌の連作も行われた。また短歌形式で風刺や滑稽を盛り込んだものは狂歌と呼ばれる。
一行詩は風刺の強い媒体になりうる。韻文で放たれた侮辱の一矢は、散文で書かれたものより強く記憶に残るものになる。平安時代より狂歌が書かれ、匿名で掲示して政治批判などを行う落首(らくしゅ)の慣行があった。寛政の改革を諷(ふう)した《白河(しらかわ)の清きに魚のすみかねてもとの濁りの田沼こひしき》はよく知られている。現代は、時事川柳が主に政治を諷している。
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【前回の集句を講師が添削】
a3ヶ月大洋の水すまし汽笛
添 大洋の水を澄ませている汽笛
b身辺整理半ばのワールドツアー⦅世界一周⦆
添 世界一周ただいま終活の途中
c2000人寝食共にワールドツアー
添 ワールドツアー寝食ともに二千人
d船室の即席家族亭主3人
添 キャビンには主(あるじ)3人即席家族
e初の船未知の世界を知りたくて
添 初クルーズ未知の世界を知りたくて
f航跡につの字くの字の我の道
添 航跡のジグザグぼくの人生だ
g人生を旅にたとえて今日もあり
添 今日もまた人生という旅にいる
h海の上波にゆられて人生思う
添 海の上波にゆられて思う来し方(こしかた)
i人生は苦労の連続このあとも
添 苦労ばかりの人生だったこのあとも
jまかふしぎ大海原に巨大船
添 巨大船浮くことがまず摩訶不思議
k船上の学びも深く海はるか
添 船上の学びの深さピースボート
lピースボートなにがピースかわからない
添 ピースボート ピースの意味がわからない
m空と汝 空海和尚どこにいる
添 空海(くうかい)の風景だろう空と海
n煩わし母のお小言旅になし
添 煩わしい母の小言もなくて旅
o今日もまた声掛け会える友が居る!
添 クルーズ船に声掛け合える友がいる
p日が昇り陽が又沈んで波浮ぶ
添 陽が昇り沈み終日海の上
q人生の次の海峡めざそうぞ
添 人生のめざす海峡つぎはどこ
r父母の写真と共に海をいく
添 父母の写真とともに海をゆく
sひとりの間しずかなるままかこ思う
添 キャビンのひとりぼっちが過去を引きよせる
t階段を登山と知ったフルコース
添 階段の上り下りが登山めく
uデッキにて名も無き鳥や我に似て
添 ボクのよう名も無い鳥に会うデッキ
vこの旅で海の広さを我は知る
添 クルーズへ海の広さを知りました
w大海に身をゆびてたり船の旅
添 船の旅いま大海に身をゆだね
xキャビン出るはじめましてといいたくて
このままで
y意を決しはじめましてとキャビン出る
添 意を決しご挨拶しにキャビンでる
zはるか島私見えるか20キロ
添 はるかな島影よ私が見えますか
ⓐ夢の旅夫の写真胸にだき
添 夢の旅亡夫(ぼうふ)の写真胸にだき
ⓑ人生を旅にたとえて今日もあり
添 人生は旅わたしは今日も旅にいる
Ⓒ今はなき母のおもかげ思うのみ
添 いまは亡き母のおもかげうかぶ海
ⓓはるかな大海原へいざゆかん
添 はるかなる大海原へ出航だ
ⓔ神戸すぎはやくも十日たちにけり
このままで
ⓕ親の恩この年になり涙する
添 この年になり涙する親の恩
ⓖ今となり海より深い親の恩
添 いま思う海より深い親の恩
ⓗ齢重ね海より深い親の恩
添 ぼくも齢かさねて思う親の恩
ⓘ旅に出て心は赤子の気持ちなり
添 旅に出て心は赤子だとおもう
ⓙ船は行くはじめての旅君と行く
このままで
参 クルーズ船はじめての旅君とゆく
ⓚにこやかにたびというなのとうひこう
このままで
ⓛ旅に出て元気になったお年寄り
このままで
(写真:船内)
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