誌上競詠「咲くやこの花賞」28年度 第5回「にぎやか」古田 祐子選
軸
遺伝子を辿れば太鼓歌いだす 古田 祐子
天
にぎやかさに黒くシルエットが透ける 松浦 英夫
地
いざこざも五色の糸も絡みつく 小谷 小雪
人
フビライが来てくまモンとメルモちゃん 井上 一筒
あの夏を忘れるなよと蝉時雨 徳山みつこ
蛙にぎやか人間らしく暮らしてる 大葉美千代
遷宮へよろずの神が顔を出す 合田瑠美子
モナリザに喋ると話終わらない 福尾 圭司
記紀神話なぞれば烏カーカーカ 田口 和代
木洩れ日に重なる葉っぱ濃く淡く菊地 あっこ
精霊の声にぎやかな森を聴く 永見 心咲
腹の中へ太鼓は海鳴りを誘う 立蔵 信子
太い手で村の祭で太鼓打つ 島田 洋審
にぎやかに踊る阿呆の足捌き 柴田 園江
ギャルみこし母の忌日を通り過ぎ 山本 早苗
金魚寝る夜店の灯り消えてから 岡本なぎさ
無意識に行く喝采のあるところ 柴田比呂志
鬼手仏心もぐら叩きと笛太鼓 三宅 保州
家族集合楽器がすべてずれている 永見 心咲
にぎやかでしたとても小さな卓袱台でした 安井 茂樹
命誕生満天の星祝う 日下部敦世
虹色にハートを染めて褒め言葉 岩田 康子
チューニングしてカラフルな夏の恋 加藤ゆみ子
地獄にもスクランブルの交差点 目黒 友遊
喪も明けていよいよメリーウイドーよ 下谷 憲子
仏様びっしり御座す曼荼羅図 北田のりこ
どこにでも五月の蠅は鎮座する 岡内 知香
賑やかな海のパーツだしらす網 寺川 弘一
にぎやかに綱打式を見せよ稀勢 浅野 一
特売のチラシで作る銀河二号 月波 与生
静脈が騒ぐまわれ右の指令 岡内 知香
キャリーケースごろごろ音声は多重 美馬りゅうこ
転がって土用の梅はジャムセッション 岩根 彰子
にぎやかにしてくれ忘れさせてくれ 石橋 芳山
にぎやかなおばちゃん飴の輪が丸い 長野 峰明
タクアンが出てにぎやかになる夕餉 樋口 りゑ
コロッケをわいわい揚げる換気扇 小林すみえ
仕掛け人子供招いて田植する 杉本 俊枝
ファンファーレなんかで迎えられている 竹内ゆみこ
見てはいないがテレビ終日つけている 香川眞理子
困ったなにぎやか過ぎる備忘録 菊池 京
ポッペンはポッペンポッペン多産系 岩根 彰子
刈り取っても刈り取っても青い草 山東日出男
出囃子にもう引きつけている笑顔 武智 三成