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 「アンバサダー」は英語で「大使」のことなのね。公式、非公式を問わず商品、イベントなどを(無償で)宣伝広告する人のこと。下記は、川柳を何とかしたいと危機感をつのらせている川柳人のお一人である月波与生(つきなみ・よじょう)氏の一文。
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  川柳アンバサダーになろう

 先日『晴』という柳誌に「川柳の分断と接続」というテーマで、なぜ川柳は他の短詩型文芸より少子高齢化が早く進み伝統結社の閉鎖、柳誌の廃刊が相次ぎ川柳人口が減ってしまったのか、ここで踏み止まり川柳に親しむ人を増やしていくにはどのような考えを持てばよいのかを書いた。詳細は『晴』誌をお読みいただきたいが、自分自身川柳を書き始めてから感じるのは、川柳人各人、分断意識の強さである。
 川柳は一読明快でなければならない。
 川柳は平明でなければならない
 川柳は定型でなければならない
 川柳は喜怒哀楽を書かなくてはならない
 川柳は人生を詠まなくてはならない
 川柳は言葉遊びであってはならない
 川柳は駄洒落を書いてはならない
 川柳はふざけた雅号をつけてはならない
 川柳大会にチャライ格好で行ってはならない。
 思いつくまま並べたがこのようなならない集はまだまだあるだろう。ならない集を句会場の入り口に並べていては敷居が高くなるばかり。新しい人は入会しないし、してもすぐ辞める。
 川柳は人生の楽しみであって人生修行をしたくて始めるわけではない。自分の貴重な時間を使って、わざわざこんなメンドクサイことばかり言う年寄りの集まりに入ってくる人はいない。
 せっかく入会してきても、すぐ中八はいけないだのし止めはヤメロだのという。上九までなら許すとかいやいや上も七まで七七五の十九音字までしか認めんとかあなた様は川柳の神様か、的発言も、ならない集のひとつである。経験からいうと一年もやれば定型のリズムは自然と身につくしそもそも技術的なことはお勉強すればわかることでたいした問題ではない。そんなことより大事にすべきは、生きているとモヤモヤと沸(ママ)いてくる澱のようなものを伝える装置として川柳を選んでくれたその気持ちである。最初から五七五でなくたっていいじゃないか。書き手が川柳だと思って書けば何字だろうがそれは川柳である。その気持ちを何度も吐き出すうちに必ず奇跡のような川柳が生まれる。これはもう絶対的に生まれる。だってあなたの人生のことを書いているのだもの。この新しい川柳が生まれる場を共有するのが川柳の面白さであり、川柳の接続性のひとつである。
 話をもどそう。
 分断についてもう少しいうと地域、結社の分断がある。都道府県が縦糸であり、所属川柳吟社が横糸。川柳を始めた人はこのマトリックスのどこかにプロットされて活動しなければならないことに窮屈さを感じていると思われる。ネット句会が隆盛なのはこのマトリックスから外れたところで気楽に川柳を楽しみたい人が増えているからでもあるだろう。ここで誤解してほしくないのは、ではこれから都道府県の川柳連盟も川柳吟社もついでに日川協も廃れるばかりで不要だ、といっているわけではないこと。
 ようやくここで川柳の接続という話に移るのだけど残り字数が少ないので要点だけ書く。
 句会に行ってみたいけど、どこにいったらいいのかわからない。柳誌を読んでみたいがどんな柳社があるかわからない。そう思っている人のために、所属柳社や都道府県を越えて全国の柳社柳誌を紹介したり、川柳を始めたい方に合わせた句会を紹介したり、場合によっては同行したりする人が必要なのだ。いわゆるアンバサダーの存在であるがこのような人間が各地区に数名いて連携しながら意識的に活動していけば川柳も活性化していくだろう。
 いや活性化する。川柳は分断から接続の時代へ移る。
 川柳アンバサダー、お金にはなりませんが、川柳を好きになる人が増えて人生が楽しくなるならやってもいいかと考えている方、一緒に始めませんか。



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川柳アンバサダーになろう(月波与生)”にコメントをどうぞ

  1. 江畑 哲男 on 2021年6月15日 at 7:32 AM :

    お邪魔します。
    月波与生氏にまったく同感です。
    小生は「べからず集」と呼んできたが、その「べからず集」が自由闊達であるべき川柳をつまらなくしてきた。さらには、各種「べからず集」を振りかざすことによって、ご自身は川柳の大家になった気でいる。うざったいし、二重三重の罪あり、だ。
    ちょっと自慢げに言わせて貰えば、与生氏と同じ主張を小生は40年以上も前から展開している。
    ガンバレ、与生氏。

  2. たむら あきこ on 2021年6月15日 at 8:33 AM :

    江畑 哲男さま
    こういう提言はありがたいですよね。
    短詩型文芸全般がこれからどこへ行くか。
    きっと明るい未来があると思う(思いたい)のですが。
    若い人たちのこころを捉えられるようになれば。

  3. 月波与生 on 2021年6月16日 at 10:09 AM :

    ご紹介いただきありがとうございます。
    未熟な記事ばかりで恐縮ですが、川柳を始めて二年目から書いた月波与生の「川柳青春期」というべきものです。
    ご笑覧いただければ幸いです。

    • たむら あきこ on 2021年6月16日 at 10:37 AM :

      月波与生さま
      ブログに掲載上の制約があり、表紙一部を切り取った形の掲載になっています。

      続けて、本日もアップさせていただきます。
      みなさまのご参考になればいいですね。
      これからもどんどん書いていってくださいね。
      楽しみにしております。

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