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隠岐海士町(後鳥羽院)吟行39句(2022/3/23-24)配流(はいる)の上皇へ想いをつのらせる
参道につぼみややふくらむさくら
参道にきみの足音 空耳か
隠岐の島に崩御在島19年
石段をかぞえてのぼる隠岐神社

隣接の御火葬塚が黙らせる
行在所(あんざいしょ)ちかく御火葬塚の哀
在島のきみを脳裏にめぐらせる
いつまでもきのうへたたみきれぬ悔い
裏山に火葬その日がまぼろしに

遺灰だとしても悲憤がまといつく
かなしみも怒りも海の蒼ふかく
点滅のきのうをひとつずつ拾う
戻らない剣(つるぎ) パズルは穴のまま
揃わない神器(じんき)あやうくする治世

きみの怨霊(おんりょう)がひきずる波なのか
側面をすこし捲(めく)ってかんがえる
流人(るにん)だった塚(つか)のかたちも追憶も
後鳥羽院ということのはの翳になる
鎮座800年の翳へとけふの影

行在所ひと回りして重くなる
重くなる肩はみたまか行在所
行在所のすぐ横にある火葬塚
行在所あたりにさがすきみの影
還京(かんきょう)の叶わぬ独り目ざめても

還京をねがい配所の月をみる
老いてひとりの嘆きをうつす池の面
なにを待つともなくかぜを聴いている
景のいま山田をかぜのすぎてゆく
暮れかかる山田の早苗雨すぎてとりあえず鳴くほととぎすかな(『遠島百首』)
800年の悼みのような島のかぜ

かくあるべきなどは配所へ消えかかる
  島守(しまもり)として影閉じている
心して吹け 波風はきみの中
我こそは新島守よ隠岐の海の荒き波風心して吹け(『遠島百首』)
  おなじこの世の名月の下
同じ世にまたすみの江の月や見む今日こそよその隠岐の島守(『遠島百首』)
隠岐の湊に入る きのうの舟だろう
浪間より隠岐の湊に入る舟の我ぞこがるる絶えぬ思ひに(『遠島百首』)

還京へ焦がれやがては封をする
  絶えぬ思いのままをすぎゆく
配流の身うすい情けを知りはてる
うすいなさけを映す鏡になっている
とにかくに人の心も見えはてぬ憂き世の森の鏡なるらむ(『遠島百首』)

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