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後鳥羽上皇の悲嘆は『遠島百首』の中によく出ている。うたは、現代を生きるわれわれのこころに直截訴えかけてくる。上皇の死後編まれたものであるから、上皇の意思で遺ったものではない(だろう)。上皇とわたしがつながるのは、これらのうたを介してである。歌人であった上皇のうたへの共感は、わたしを川柳の創作へ向かわせる。
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我こそは新島守よ隠岐の海の荒き波風心して吹け
(先の天皇という最高権威者だった)我こそは、いま新しい島守である。隠岐の海の荒い波風をおこしている大自然よ、これからは(それを考慮して)気をつけて吹くようにせよ

浪間より隠岐の湊に入る舟の我ぞこがるる絶えぬ思ひに
隠岐の港に入る船を見ていると、絶えず(海の向こうにある京で上皇として暮らしたことが)思い出され、船を漕いで帰りたいという思いに焦がれてしまう

暮れかかる山田の早苗雨すぎてとりあえず鳴くほととぎすかな
山田の早苗に雨が通り過ぎ、その雨が上がると、すぐに夏の野鳥(ホトトギスは、その代表でしょう)が鳴きはじめる(野鳥には翼があって、どこにでもすぐに飛んでゆけるのでうらやましいなあ)

今はとてそむきはてぬる世の中になにとかたらふやまほととぎす
(帰京という未練を)棄ててしまった隠岐での配流生活に、野鳥達は、何を思い出せと鳴くのであろう

同じ世にまたすみの江の月や見む今日こそよその隠岐の島守
承久の乱に破れ、命を助けられて以前と同じ世の中にこうして住んでいると。絶頂期、多くの歌人と一緒に住吉大社から見た住之江の月(月の名所として有名だった)と同じ月を隠岐でも見ることができる。しかし、今のわが身はそこから遠く離れた和歌を楽しむ人もいない隠岐の島守となってしまった

思う人さても心やなぐさむと都鳥だにあらば問わまし
都にいる私の思う人は、私が都にいなくても、心安らかなのだろうか。都鳥がおればその安否を尋ねられるのだが

とにかくに人の心も見えはてぬ憂き世の森の鏡なるらむ
配流の身となったせいで、人の冷たい本心がすっかり見えてしまった。憂き世の森の自分の置かれた辛い状況は、他人の本心を映す鏡なのであろう

とにかくに辛きは隠岐の島つどり憂き世ばおのが名にや答えむ
自分にとって憂き世とは辛いものだが、厳しい隠岐の自然の中で生きる島つどり(鵜)の身の上も辛いものだろう。自分をウ(憂)と呼ぶくらいなのだから

問わるるも嬉しくもなしこの海を渡らぬ人の波の情けは
手紙などで安否を問われても自分にとっては嬉しくもない。海を実際に渡って隠岐に来てくれない人達の 並み(通りいっぺん)の情けは何と冷たいものだ

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