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 あちこちの大会に参加させていただいている。目的は選に入ることというより、大会に向けて作句すること。率直に言うと、真剣な作句の機会を得ること。結局は自分との闘い、独りの川柳行脚である。結果として、よい選者に巡り会えたときの喜びといったものはある。
 どうしてこのような選になるのかと、披講を聴いていて疲れることもしょっちゅうある。「選者が(悪い)」という言葉をあちこちで聞くようになって久しいが、この問題をどうしたらよいのか。
 ある大会で、「深層水」という兼題があった。この題には、作句意欲を刺激するものがある。思いつくままに詠んだ私の11句を下に記す。

  かなしみへ抑制がある深層水
  生き下手でときどき潜る深層水
  いまはわたしの深層水になる遺影
  ひたむきに生きて深層水の澄む
  キリストも釈迦も深層水になる

  深層水脹らんでゆく猜疑心
  深層水もすこし澱んだ倦怠期
  さえずりが深層水を解き放つ
  呑み込んだ過去かも知れぬ深層水
  滲み込んだ過去が深層水になる
  嚥下したものが澄みだす深層水

 披講を拝聴、いくつも聴かないうちに脱力してしまった。大会当日の入選句の一部、5句をメモに残している。ここに書くわけにはいかないが、正直に申し上げれば、私が選をすれば5句すべてが没となる。
 私の句における「深層水」は、心象としての「深層水」。「水溜まり」などとおなじ、こころの状態のメタファー(暗喩)である。この選者の「深層水」は、そのままモノとしての「深層水」。モノである「深層水」をいくら詠んだところで、こころに響く1句を得ることは難しい。
 申し上げるが、そういう選をする方はいくらでもおられる。私の目指す文芸川柳とは遥かに遠い、そのような川柳があちこちの句会で量産されているのだろう。

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「選」を考える”にコメントをどうぞ

  1. 竹内いそこ on 2013年5月22日 at 10:03 PM :

     風向きに逆らっている老いの戯画
     窓口であしたのわたくしを開く

    こころに響く一句を得る 難しいかもしれないけれど、やってみます。
    わたしも残る句を作りたい。まず時間がたったときに自分の記憶に残ってもいない句なんて、寂しいではありませんか。

    • あきこ on 2013年5月22日 at 10:36 PM :

      竹内いそこさま
      やってみて下さい。
      今回、少しキツイことを書きましたが。理解して下さる方が一人でもあればそれでよいので。
      立山連峰の峻厳を思えば、いささかの苦しみはあっても、自分の納得のいく一句を得るまで頑張れます。

  2. 伊東志乃 on 2013年5月22日 at 10:28 PM :

    叱咤激励をありがとうございます(^^)m(__)m

    あきこ様のような句がたくさん出る大会であったなら、どんなに楽しいか………
    おきこ様に「深層水なんて面白くて良い兼題ね」って言われて内心ドキッとしました。私は深層水そのものしか書かない句が出ることを知っていたからです………
    私があきこ様の前で十分で書いた句のようなもので大会を戦えるなら、たとえ取られなくてもガッカリは来ないのに………

    • あきこ on 2013年5月22日 at 10:51 PM :

      伊東志乃さま
      句会は選者によって決まります。
      尾藤三柳先生の「あ・と・が・き」を読んでいただいたと思います。これからの川柳が何処へ行くかを、心底心配しておられるのですね。
      それは、うちの会長もおなじ。選者が駄目だと、句会も駄目。どんどん川柳が悪くなっていってしまう。
      なんとか、がんばりましょう。

      • 伊東志乃 on 2013年5月23日 at 11:58 AM :

        ありがとうございます。
        各会の会長が選をするのが倣わしのようになっています。
        どうかすると、男ばかりの選者です。
        私どもの会は女性だけの会です。男性を入れる動きもあったのですが、各会長が選者なら、此処だけでも女性の会長を出さねばならないのではないかと最近思うのです。
        田舎の古さを変えることはなかなか難しいですが、今、川柳協会の役員になり、少しでも変えられたらと思っています(^^)

        • あきこ on 2013年5月23日 at 12:45 PM :

          伊東志乃さま
          《風向きを読めぬ男で嵐呼ぶ》なんて入選句がありましたね。(笑)
          時代がかっていて、面白かったですよ。
          これからの川柳を模索していきましょう。

  3. りょーみさすけ on 2013年5月23日 at 10:02 AM :

    「時実新子ー語録」
    作品が発表された以上、それは一人歩きを始める。いかなる批判も甘んじて受けようとするのが、作者側の姿勢であるなら、これを受けて、叶う限りの真心で理解しようとし、味わおうとするのが鑑賞者の心ぶりでなければならぬ。

    女は女同士、男は男同士、若木は若きを、老いは老いを労せずして理解できるかにいう。同世代に生き、同体験をした者同士もまた、他者よりも深く理解しあえるのは当然あろう。かれども、同体験には限度がある。
    そこで鑑賞者、なかんずく選者に求められるものは、「博識」と何でも見てやろうやってやろうの「好奇心」と何より深い「人間愛」であろうと私は思うのである。そして芸術を味わうセンス。
    (゜ー☆)(。_☆)(゜-☆)(。_☆)ウンウン

    • あきこ on 2013年5月23日 at 12:21 PM :

      りょーみさすけさま
      川柳を愛しているんですよね、結局。
      時実新子先生も、後輩の私たちも。(だから熱くなれるんですね)
      激怒して帰った句会も多々ありますが、この頃は諦めて、自分との闘いとして句作に向き合っています。
      10月6日に森中惠美子先生の句集発刊記念(?)の大会があるので、また一緒に行きましょう。(会長も行くぞぉ~って。張り切っておられます)

  4. たかこ on 2013年5月23日 at 10:46 AM :

    仕事から帰ったところです。
    近くのクリニックに、帰り道寄って月いちの血圧測定のため診察券を置こうと思ったら、なんと昨日と今日臨時休業だって。
    予定が狂ってしまいました。

    にゃン様の、「選への真摯なお考え」心に刻むようにしたいと考えていますが、いつも発表誌を見ると怖くなりますね。
    にゃン様は今年も鈴鹿に来てくださるのかなあ、選者の質云々が耳に痛いですう。(私のことです)

    りょーみさすけさんの「選者論」も胸に留まりました。

    • あきこ on 2013年5月23日 at 12:34 PM :

      たかこさま
      今年も行かせていただきます。
      事前投句もそろそろ送らせていただきます。
      鈴鹿の大会は雰囲気が温かいのがとてもいいですね。(たかこさんのように)
      楽しみにしています。(^^)

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