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 前田咲二先生も、かつて、この「クラブ誌上句会」の選をされたことがあったのね。「川柳マガジン文学賞」の選者をなさった後だと思うので、平成28年のことだったかと。そのときのご様子を思い出しながら「薄味」の選に当たった。また、わたしは第7期の優勝者(クイーン)なので、あれから12年が経ったことが感慨深かった。今回いつも以上にくり返し味読、選結果をだした。この誌上句会の選者は読者の推薦で決まる(とか)。推薦して下さった方々に御礼申し上げます。

 柳歴が長くなるにつれ、同一の選者でも、選の内容は少しずつ変わってくる。既視感のある句は上位に採れない。川柳は前を向くべきだと思うので、伝達性に少々の難はあっても、切り口の新しさ、これからの川柳を追求する姿勢の見える句を採らせていただきたいと思うのである。 
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Season19 №09 題「薄味」  たむらあきこ
 ぼんやりと月を眺める微炭酸  岸井ふさゑ

 今はまだ三分咲きです他人です  加藤友三郎

 一口の後方支援ならできる  船越 洋行

九客
薄味ではつまらぬ半沢直樹  村上 善彦
十二月のトマト淋しい味がする  居谷真理子
八方を立てて玉虫色になり  古川 大晴
淡白な答えに狼狽がのぞく  森井 克子
薄味で賞味期限を引き延ばす  渡辺 遊石
薄味を本分にする浮動票  白井 靖孝
憧れは銀木犀の佇まい  居谷真理子
薄味にされてしまった男達  牧野 芳光
淡雪を重ねたような恋でした 米本 素光 (七十秀は省略)
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【寸評】
 お題「薄味」がどれだけの発想を引き出したかに注目。上位の句のうちいくつかはメタファー(隠喩)の斬新さを採らせていただいた。
 〕の「微炭酸」は、繊細で目立たない男(女)性のメタファー。そこに「ぼんやり」が被さると「薄味」も極まる。は、二人の気持ちの現在地を「三分咲き」と表現。たがいに好意はもっていても、まだ「他人」だと。は、財力はあまり無い(薄い)が、支援はしたいという気持ちを詠んでいる。〈九客〉も、それぞれ発想・表現に独自性。



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第19期・第9回目 川柳マガジンクラブ誌上句会 課題「薄味」(たむらあきこ選)の一部選結果と【寸評】(川柳マガジン2月号より転載)”にコメントをどうぞ

  1. 越智学哲 on 2021年2月4日 at 3:21 PM :

     あきこさん、こんにちは。
     今回のブログ、とても勉強になります。「既視観のある句ではなく、伝達性に少々の難はあっても、切り口の新しさ」 肝に銘じておきたいと思います。
     また、「メタファーの斬新さ」にも大いに納得。私自身は、すんなりと意味がつながる論理的な句しか詠めず、メタファーを使うのは苦手、と言うよりも全く使えません。川柳の有力な武器を一つ捨てたまま、一本調子な句を詠んでいます。ただ自然に使えるようになるまでは、自身に内在する論理性?に根差した句を詠もうと思っています。メタファーが使えれば、、もっと句に深みや広がりが出るのだろうと思ってはいるのですが。
     川マガ誌上でも読みましたが、さらによく、あきこさんの川柳観が理解できました。
    今回も全力投球のブログ、ありがとうございました。

  2. たむら あきこ on 2021年2月4日 at 4:34 PM :

    越智学哲さま

    お久しぶり。
    >自身に内在する論理性?に根差した句
    それでいいと思います、いまは。
    それが越智学哲川柳でしょう。

    今回拾い上げた「微炭酸」の句は賛否両論あるところだと思うのね。
    思い切って採りましたが。
    「風」が人であるようには、まだ受け入れられがたいものがあるでしょう。
    ちょっと先を見た川柳なのね。
    連作でならじゅうぶん通じても、一句でとなると採るのに判断が要りますね。
    要は、五七五というわずかな音数の中にいかに内容を盛るか、ということなのね。
    先に述べたように、この句は賛否両論が予想されるので。
    採るとすれば”天”か、それとも没かというところでの判断かな。

    学哲さんには、知性派のどこにもない川柳をまずたくさん詠んでいただきたいので。
    ただ論理的に?詠まれても、そこに詩があること。
    ずっと、期待させていただいているのよ。

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