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「川柳塔なら 篝火」11月号に掲載の一文を転載。

立山連峰8十二の窓⑾                    たむらあきこ
 一人吟行を続けている。九月の富山県川柳大会での講演「わたしの川柳行脚」の中で、「立山連峰(を詠む)」として吟行句を読み上げた。途中、句意が分かるかどうかを訊ねさせていただいた。結論からいうと分からないが多数。十人ほどがパラパラと「分かる」に挙手をして下さった。「(一般には)難しすぎる」と、残念だが瓦版会長に言われていた通りの結果。

川柳は五七五の定型の縛りがあるだけの、自由闊達な表現のフィールド。吟行句も含めて各柳人のさまざまな試みをお待ちしたい。次は講演で読み上げさせていただいた13句。

立山連峰
立山と向き合うわたくしの荒磯
東風すさぶきのうへ戻るとき
渋谿の崎に寄せては返す哀
惟神置く雪の稜線
山なみの太刀の辺りにきみを置く
立山の磐の条線から翳る
雪は斑に偲ぶ在りし日
漂流のきのうが打ち寄せる磯廻
嘶きは国守か古の磯廻
渋谿の崎の立山きみを待つ
鳥の声何処かと問えば水に影
弓張り月は天平二上山尾の上
射水河ほとりに家持の思惟

【註】荒磯(ありそ) 東風(あゆのかぜ) 渋谿(しぶたに) 惟神(かむながら) 磐(いわ) 斑(はだら)磯廻(いそわ)    嘶(いなな)古(いにしえ) 立山(たちやま) 射水河(いみずがわ)思惟(しゆい)

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