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    春風能鉢の子一つ (はるかぜのはちのこひとつ)            種田山頭火

 放浪の旅を続けていた山頭火が雨風をしのげる寝床がほしいと思うようになり、草庵や一時しのぎの家をみつけるが、落ち着けずにさまよっていた。食べることさえままならないのに酒を飲んでしまう自分。空の鉢には春風だけが吹き込んでいる。(写真:上記句の句碑の傍に咲いていた水仙)

 第57回 伍健まつり川柳大会で、出句を済ませたあと小雨の中をふらりと出て、市内電車で本町六から赤十字病院前まで。徒歩約15分、一草庵まで。近くに山頭火の句碑4基。下記は冊子『俳句の里 松山』(松山市立子規記念博物館)から。
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鐡鉢(てっぱつ)の中へも霰(あられ)
 この句は昭和7年1月8日、福岡県芦屋町での吟。「今日はだいぶ寒かった。一昨六日が小寒の入、寒くなければ嘘だが、雪と波しぶきとをまともにうけて歩くのは行脚らしすぎる。」と記して、この句がある。

春風の鉢の子一つ
 前の句碑とともに、山頭火自筆。昭和8年5月13日、山口県室積行乞の記事の前にこの句があり、「秋風の鉄鉢を持つ」と対になっている。
 

(にご)れる水のなかれつゝ澄む
 この句は、死去の約一か月前の句で、一草庵の前を流れる大川(樋又川)に人生を観じたもの。

 
一洵君に
おちついて死ねさうな草枯るる
 この句は、高橋一洵が奔走して見つけたこの草庵に入った山頭火が、「私には分に過ぎたる栖家である」と記し、その苦労に感謝して一洵に呈したもの。
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 それぞれの句にふかくうなずきながら暫しの時間を過ごした。山頭火が俳句として詠んでいるものを私は川柳で詠もうとしている。私のいう「人間存在の根幹に関わるところまでを詠む」川柳とは、このような自由律俳句に近い。一草庵からは松山城が見え、近くには癒してくれる道後温泉がある。山頭火終焉の地。次の松山訪問のときも時間があればこの地を訪ね、位牌に手を合わせたい。
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