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画像-0048や 川柳 人と句 「句」59
             たむらあきこ
(たむらあきこ千句)から
てのひらのつめたさ一錠の静止
ふうせんは骨になっても夢をみる
刹那だとしても白さをいとおしむ
引き金をポストの中に入れてきた
ことばになるまでの時間が蹲る
とんがったところを脱いで明日にする
生煮えの芯に迷いがあるらしい
真っ白な紙からにんげんになった
詩の断片のようなさくらが降っている
人間の砂漠ににんげんを咲かす
…………

川柳・人と句「人」                    青砥たかこ
「たむらあきこ千句」が真っ赤な表紙にくるまれて我が家にもやって来た。赤色は何十種類もある。表紙の赤は暗い赤ではない。「赤」と呼ばれる赤は、熟したいちごや血の色のことらしい。あきこさんの選んだ表紙の色はこの「赤」に近くて心を揺さぶられるような色だ。
 表紙の題字「たむらあきこ」は、川柳瓦版の前会長前田咲二氏によるもの。ひらがなの持つ曲線の美しさがある。それはあきこさんのしなやかな心をよーく知っておられる咲二さんの思いがこもっているようである。
 いきなり「訃」の句が並ぶ。
あっけない訃へ雨脚が寄ってくる
 千句の第一句目である。よほどの思い入れがおありなのだろう。何年か前に亡くなられたお父上のことだろうか。
てのひらの蛍はきっと父だろう
 京都に、そのお父上のアトリエがまだ残されているらしい。才能のすべて引き継がれ、今川柳で大きく開花された。
「あとがき」は、川柳に関わってきた十七年間がかいつまんで書かれている。簡潔で無駄のない文章だ。
 話がそれるが、新葉館ブログ本日二月二十八日で、これまで県外に川柳行脚として句会に出かけていたが、今後は控えたいということが書かれている。あきこさんの川柳行脚とは、ただ大会に出席するだけではなくて、その土地、たとえば富山の立山、三重は伊勢神宮、静岡は富士山、松山の松山城など自分の足で訪ねて一人吟行をされる。女山頭火と密かに呼ばせていただいている。
 たとえば伊勢神宮。(ブログより抜粋)
『朝五時過ぎからあまり人のいない境内を彷徨って、ひたすら五感に触れてくるものに心身を委ねていた。五十鈴川のせせらぎ、鳥の影、鳥の声、玉砂利を踏む音』
ザッザッと私に響くものを踏む
 私が行くのはいつも新年一月だから、霜を含んだ玉砂利の音は「サクサク」か「ザクザク」になる。「ザッザッ」にあきこさんの逸る気持ちが見えそうだ。
 伊勢に来られることが分かっても、私は敢えて声をかけない。吟行、あるいは大会に仲良しこよしでつるんでいくのは、私は好きだが皆がそうとは限らない。もしいつかあきこさんが、「つきあって」と言われたら「喜んで」と答えるつもりでいる。
 句集をいただいて、便箋に思ったことを数枚書いてお送りした。そこには少し辛辣なことも書かせていただいた。あきこさんがそう望まれていたし、誉めるだけならもらっても嬉しくないだろうと考えたから。
 だが、このコーナーはその人と句を紹介させていただくところ。無理に貶すことはしない。とは言ってもやみくもにへつらったり、媚びたりはしない。いいところを探し盛り付ける作業は楽しい。
耳に溜まる厄介者をどうしよう
紛れ込んだ記憶に穴があいている
 平坦ではない詠み方だが、難しい言葉は使われていない。難解句でもない。だが、誰にも真似が出来ない一字一句があきこさんである。
ジグソーパズルの最後を風が埋めてゆく
 何年か後また「千句集」を出される予定だそうだ。今から予約させていただこう。
ていねいに独りを生きる空の下
(※原文、ママ)

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