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 私の21年の柳歴の中でいちばん嬉しかったことは、尾藤三柳師と前田咲二先生がともに「時事川柳」の選をされる川柳マガジンで「読者柳壇」の選を依頼され、2015年10月から(だったか)一年間選者としてお二人とご一緒できたことだった。お二人がその翌年、翌々年と相次いで逝かれたことを思うと、あらためて寂しさでいっぱいになる。
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尾藤三柳師の15句
国ほろびても王様の手のえくぼ
地球儀に音なく積もる人の灰
十二月パン屋がパンを喰っている
トタン屋根猫がまずしい音にする
父の日の父を残してみな出かけ

ぽきりぽきりとてのひらの虹を折る
点せばひとり影ひとり 酒すこし
バイアグラ原初の海を攪拌す
川柳が芽吹いて江戸が江戸になる
乱世を酌む友あまたありて 酌む

能面の緒ばかり拾うきのうの川
首塚や ここに候ものは風
にんげんの寝息で眠る鬼の面
石くれの耳より深い闇はない
ほんとうの力で抱けばかなしかり

前田咲二師の15句
わたくしを抱いているのは神だろう
一汁一菜こころに守るものがある
激情のぼくを仏と人は呼ぶ
窓を開け放つ鬼にも仏にも
一人隔てて美しいひとと居る

神童と呼ばれた頃の賞状だ
千の手に千の閃き千の迷い
二人から二人に戻る蕎麦枕
焼き芋を包むやっぱり新聞紙
夕焼けと約束のある鬼瓦

気心を許し外濠埋められる
投げ返すことばを一つずつ磨く
一枚のハガキと響くものがある
人間を測る数字が多すぎる
生きていく狼煙いくつも抱いている

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