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 祈りとは、世界の平和や他者への想いを願うこと。ひと言でいうなら利他の精神よね。これは、自分の中の神と繋がることと考えてもいいだろう。

 祈りというものは、それぞれの宗教における価値観念とは別の、より根源的な欲求に基いたものだと受け止めている。あきこの関心は古神道に向くが、古神道において神は曖昧だが、自然に対する感謝や畏怖が元になっているのね。

 祖先崇拝に限らず、人や動物など命をなくしたものや、道具など役目を終えたものへの慰霊や感謝もある。神道の始まりは、海・山・川・森・巨石・巨木などを神の宿るもの(依り代)や神域につながる場所と考えて祈るのね。

 現在にもそれらは残り、天岩戸や神倉神社の巨石、神社の神木や夫婦岩などもそうよね。水田などに落ちた雷の場所を、青竹と注連縄で囲い五穀豊穣を祈るということもあるらしい。紀南には、捕鯨で命を落とした鯨は鯨塚や鯨墓によって慰霊、感謝の祈りを奉げているところもある。とにかく、森羅万象に対する感謝が人の営みにまで広がっている。

 あきこの場合、古神道に関心があるといっても、とくに何もしていることはない。神社にお参りしても、二拝二拍手一拝を行うことくらいが関の山。金銭との関係をつけたくないので、お賽銭もいつもしているというわけでもない。とくに利益や加護を願うこともなく、まして祈祷・祈願などを行うこともない。ほぼ無宗教といったかたち。

 しかし、これでよいのではないかとも思うのである。亡くなった人の霊は草葉の陰におられる、呼んだらすぐに来られると、神職である畏友に教わった。とくに墓参りなどもしないでいいのだとか。神職の最高位(特級淨階)でもある畏友の言われることだから、それはそのように受け止めている。ただ、石の下に入ってしまうと、だれも来ないのは石も寂しいだろうという気持ちから、お墓参りはするのね。

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