※時間がないので、少々急いでまいります。月例会が終わり、また編集会や校正会が終わると懇親会。そのあと京阪で寝屋川市駅まで先生とご一緒するのですが。いつも準急の優先席を探されるのね。目がよく見えておられないのに(左目は全然見えず、右目も目の中に黒い玉があるのだとか)、さっさと動かれるのです。着席してから横のわたしに向けられた安堵の笑顔を、いつまでも忘れません。
『前田咲二遺句集 平成16年』【49】
髪の毛がないからぼくの顔だろう
クロネコが牙研いで待つ民営化
時効になった恥ならたんともってます
いけ好かぬ男にあくび移される
追いかけてくるのは医者と僧ぐらい
やさしい子がいますなんにもいりません
マジシャンに貸した諭吉を確かめる
十年日記のなかでわたしが痩せてゆく
大好きと書いて嫌いと書いて消す
ぼくを焼くけむりはきっと輝くよ
茶を入れて忘れたふりをしてくれる
骨拾う箸から秋が加速する
やがてやがて戦力外という間引き
顔というフリー切符をもっている
自分史に添える部厚い正誤表
いい人と出会えた今日よありがとう
堂々と意見を述べて照れている
うつむいていると味方がいなくなる
けむりのほかに何か入っていましたか
五穀豊穣この日本を愛し抜く
伸び切った輪ゴムの中に妻と居る
ポンプで汲む水が踊っていた頃よ
火のこころ壷のこころになって焼く
藁もやすこんなやさしい火があった
僕は風おんなの長い髪が好き
ぼくの部屋のどこかに妻の盗聴器
逆立ちをしてるケチャップマヨネーズ
兄ちゃんと同じ皿とる回りずし
うたがいが晴れると空が高くなる
脱いで脱いで脱いで妥協をせぬ冬木
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