『前田咲二遺句集 平成10年』
神様がいいと言うまでただ歩く
歩き疲れて仏の膝をお借りする
使い捨てカメラで軽い恋を撮る
肩書きを捨てて自分が見えてくる
新聞をがつがつ食べている戦士
ポケットでショックを握りしめている
残り時間を刻むわたしの万歩計
秋を逢う訣れことばをてのひらに
男ひとり皿を汚さぬように食う
両手から両手へ渡す優勝旗
写楽のように上手に影を消せないか
定年後 妻の内助をしています
一泊二泊三泊秋へ紛れ込む
今という時間を大切に掬う
虫眼鏡二つ重ねて見る辞典
莫山の一から活力をもらう
性転換 妻は女がいいという
石庭の砂 十月の風を抱く
環状線の秋を一駅ずつ拾う
戦う形してカマキリの斧は枯れ
戦争を知らぬ迷彩色の驕り
近くで見るとようさん皺がおまんなあ
近寄るなぼくは人間恐怖症
脱線をした手を妻に抓られる
企業倒産続いて秋が加速する
休耕田を踏む月面を踏むように
骨粗鬆症になるまで愛してと言おう
真っ正面に父が立ちはだかっている
脱いで脱いで脱いで妥協をせぬ冬木
ちちもははも居ぬ風景を折りたたむ
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たむらあきこ様
前田咲二遺句集⑥拝読。有難うございます。
書き写すのが精一杯で、まだじっくり読んでいません。
これまで書き写してゆく中で、ぱっと新米のわたしの
興味を引いたのは次の句です。
新しい暦へ惚けがまたすすむ
従いてくる妻も自分の旗をもつ
極細の糸でしっかり愛を編む
わかってまそんなに念を押さんかて
嫌だなあうどんを噛んで食う男
あの頃にあの句を詠んだ鶴彬
これ以上飾ればきっと蹴つまずく
ひもじくて田辺聖子を食べている
肩書を捨てて自分が見えてくる
両手から両手へ渡す優勝旗
前川奬さま
このあたりは、先生が俳句、短歌に続いて川柳を始めて十年くらいのときですよね。
よいと思われる句を選んで書き写すことは、最高の勉強になるのではないでしょうか。
先生ご自身の句から学べることは多いと思います。
ヘタに半端な先生につくよりも(笑)、横綱の作品で学ばれればいいのではと。
一冊目がもうすぐ終わりますから、そろそろ二冊目。
どんどん句も熟してくると思うのね。
破調が多いですが、入れ物ではなく、まず内容ということですね。
初心者が定型をまもるのは当然かと思いますが、破調で自在に詠まれている大家がおられるということも知っておいてよいことと思います。
おたがいにがんばってまいりましょう。(*^^*)