『一粒の今』(荻原 鹿声)から抄出13句
ほどほどの飢えを原稿紙に埋める
言い負けてなるかと栗が爆ぜている
紙コップくらいの意地は持っている
ひと休みしたいと思う蔓の先
父からの棒を磨いて生きている
蒸発もできずいつもの駅で降り
この線を出るなと言われ少し出る
笑い話を非常袋へ入れておく
火のような貧しさだった四畳半
深呼吸して断りの手紙書く
水のない川が流れている枕
暮れなずむとき人間の顔になる
もう一度深呼吸して待ってみる
‥ ‥ ‥ ‥ ‥ ‥ ‥
下記は、2012年8月5日の〈たむらあきこ川柳ブログ〉を再掲。先月7日、東京・上野の尾藤川柳氏名披露目会で久しぶりにお会いしたとき、ネットをされない氏に頼まれて全文をコピーして送らせていただいた。折り返し送っていただいたのが新著『一粒の今』。二日かけて読了、上13句を抄出。
荻原鹿声さんに7月1日の新潟・柳都全国大会でお会いしたとき、かねて気になっていた句集「埋み火」を頂戴した。少しずつ拝見、鑑賞させていただく。ちなみに氏は作句歴50年余り。この句集で本年度の日川協(にっせんきょう:全日本川柳協会)、第5回川柳文学賞を受賞。選考委員5名のうち、大木俊秀氏が1位に採られ、ほか平山繁夫氏、雫石隆子氏の選に入っている。
2(?)年前、柳都全国大会ではじめてお話しさせていただいた。私の句「斬りつけるときあわ粒が立っている」を特選に採ってくださり、恐縮なことに選者のほうから挨拶に来ていただいたのだった。
氏の句は全体的に地味で、人柄を髣髴させる。中に数は少ないが短句(77)があり、575の破調がある。これからの川柳は少しずつ自在に詠んでいく方向に変わっていくだろう。
下記は私の心に響いた句(の一部)。
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このへんで傘を畳んでいいですか
最後尾なりに風船ふくらます
半券にまだ潮騒が寄せている
もう一度転べば掴めそうな虹
右の手を庇う左手も寒い
その時のために隠しておく浮き輪
羽化をするには一通がまだ来ない
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