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 28日、東京の尾藤一泉氏から届けていただいた「川柳はいふう№3」。5月15日の上野恩賜公園《彰義隊・戦死の墓》吟行で、氏のお申し出により50句を提出(メールに添付)させていただいた。紙面の関係で30句に絞られたのだが、抄出を氏にお任せしていた。
 「招待席」として30句抄出、写真も付けてすぐに内容確認のため送り返していただいたのだが、その抄出された句を見て、失礼を承知で書けば「やはり尾藤(三柳)先生の息子さん」との感動を覚えたのである。氏と相談の上、少々の手を入れた。すでに2度ブログにその50句をアップしているが、もう一度掲載30句の下に付けるので、みなさまにも参考にしていただきたい。
 なお氏には十六世川柳号を継承されるとのこと。おめでとうございます。
‥ ‥ ‥ ‥ ‥ ‥ ‥
招待席
上野恩賜公園《彰義隊・戦死の墓》吟行
              和歌山 たむらあきこ
五月十五日江戸の影絵のまだ静か
幕末へ追伸あるごとく微風
顕せばいよいよ探されるきのう
影を起こしてみれば顔顔 彰義隊
石に刻まれたのも答なのだろう
きのうを捲れば浪士集め指示書
系譜の行き止まり 慶喜公葵の間
隊士名いくつ立ち聞きされている
不忍池を拾っている暫時
半日のいくさへ続編のながさ
手も足も遠く焼かれているらしい
明治改元 葉隠に距離おいてゆく
興郷の言挙(ことあ)げはせぬこころざし
…‥…‥…‥…‥…‥
心情をたどれば影へ影湿る
荼毘の地に問い返されているきのう
野ざらしのむくろ集める木下闇
獄中寄せ書きへ生き残りのカーブ
唐銅(からがね)の墓碑塔たましいの砦
石の影はいまも忠心なのだろう
地中の墓碑起きてきのうが立ちあがる
梵鐘が鳴ってきざはしのぼりつめ
有縁寺院の梵鐘 刀傷に沁む
陵王の差しだす朱色 血の色か
久良伎翁の貌 陵王の伎楽面
戦死の墓あたりに嗅いでいる煙
来て並ぶきみもまぎれて影になる
赦免された影も寄りくる山王台
火葬場に影をかさねる 誹風忌
節のいま彰義隊から照り返し
けふのなほ西郷隆盛像寡黙
‥ ‥ ‥ ‥ ‥ ‥ ‥
提出50句
上野
恩賜公園《彰義隊・戦死の墓》吟行50句(2017/5/15)
❶江戸の意地みせて散りゆく彰義隊
❷いまも記憶のなかに騒(ざわ)めく彰義隊
❸変わり目が彰義隊へと節を足す
❹その時のはるかに影が躍りだす
❺幕末の影絵のひとつ彰義隊
❻引き際へ諦めきれぬ摩擦音
〇❼節のいま彰義隊から照り返し
〇❽系譜の行き止まりに慶喜公蟄居(ちっきょ)
〇❾五月十五日江戸の影絵のまだ静か
〇❿影を起こしてみれば顔顔 彰義隊
〇⓫石に刻まれたのも答なのだろう
〇⓬彰(あら)わせばいよいよ探されるきのう
⓭山王台に二百六十余の御霊
〇⓮きのうを捲(めく)れば浪士集め指示書
〇⓯明治改元 葉隠(はがくれ)に距離おいてゆく
⓰墓守の消えて落葉の溜まる墓
⓱半生を墓守興郷(おきさと)の素足
〇⓲墓守の言挙(ことあ)げはせぬこころざし
〇⓳心情をたどれば影へ影湿る
⓴いまは澄む裏も表も引きよせて
21戦死の墓いまも答が見つからぬ
〇22幕末へ追伸あるごとく微風
〇23地中の墓碑起きてきのうが立ちあがる
24戦死の墓かこむこの世の顔あまた
〇25荼毘の地に問い返されているきのう
〇26手も足も遠く焼かれているらしい
27いまは風に紛れる済んだことにして
28獄中にていささか声は出しておく
29砦として葉隠 答守られる
〇30唐銅(とうどう)の墓碑塔たましいの砦
31脚色をゆるさぬ興郷の矜持(きょうじ)
〇32石の影はいまも忠心なのだろう
33由緒書き銅版碑まだ澄みきれず
〇34隊士名いくつ立ち聞きされている
〇35来て並ぶきみもまぎれて影になる
〇36赦免された影も寄りくる山王台
37戦死者の砦 二百六十六柱
〇38陵王の差しだす朱色 血の色か
〇39梵鐘が鳴ってきざはしのぼりつめ
〇40有縁寺院の梵鐘刀傷に沁む
〇41火葬場に影をかさねる 誹風忌
42鐘の一打ごとに御霊(みたま)に沁みてゆく
〇43獄中寄せ書きへ生き残りのカーブ
〇44半日のいくさへ続篇のながさ
〇45野ざらしのむくろ集める木下闇
〇46久良伎翁の貌 陵王の伎楽面
〇47戦死の墓あたりに嗅いでいる煙
〇48不忍池(しのばずのいけ)を拾っている暫時(ざんじ)
49月の松から辨天堂を摑みだす
〇50けふのなほ西郷隆盛像寡黙

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