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誌上競詠「咲くやこの花賞」27年度 第1回「無心」森中惠美子選
鉢巻き
しじみ汁無心になれというている 森中惠美子

鉢巻きをしめて無心がやってくる 西澤 知子

ブランコの揺れに合わせている無心 古久保和子

菜の花の畑に置いてきた時間 立蔵 信子

ひと気ない公園で咲く紅椿 合田瑠美子
風を切るアンパンマンの園児たち 八木 侑子
クッションの上に座っている無心 柴田比呂志
花いっぱい入れて無心になる柩 柴田比呂志
ネコの時間には毎朝ネコになる 井上 一筒

遠い日の父にねだった十二色 新海 信二
二歳児へ積み木積んだり崩したり 平尾 正人
決断の硯の前にある無心 栃尾 奏子
あの人の煙を見てるいつまでも 丸山  進
いつまでが女だったか眠る母 青砥 和子

かんざしを買う坊さんが説く無心 池田 吉久
無心に食べる生きる姿が美しい 三村 一子
禁煙で少し無心に近づいた 福尾 圭司
迷いなど寄せつけもせず蟻の列 勝又 恭子
喪が明けて無心になっていくひとり 日野  愿

まだひとつ無心になれるものがある 井丸 昌紀
逢いに行く何を求める訳でなく 石橋 芳山
無心ではおれぬ通天閣の意地 小西  明
悩みごとが消えたあたりに水仙が 立蔵 信子
さくらは無心散るときも咲くときも 高島 啓子

悠久の時に溶けてる美術館 森  廣子
空っぽの心に好きな色を塗る 岡本なぎさ
タイガース無心になれとVが言う 得能 義孝
無心言わぬ言われぬしあわせのかたち 有田 晴子
無心には遠く蟹の身をせせる 太田扶美代

路傍の花はひっそりと白く咲く 藤井 寿代
大の字になりまっ青な空を見る 岡本なぎさ
髭を剃るときは一心不乱なり 三宅 保州
引き算を重ねこころを無に保つ 高浜 広川
とろりとろりと葛湯になってゆく無心 吉松 澄子

明日が来てくれさえすればそれでいい 嶋澤喜八郎
気がつけば一人ぼっちの舟を漕ぐ 高浜 広川
深呼吸風に任せて散るつもり 岡内 知香
両腕を広げて風と同化する 居谷真理子
赤ちゃんが笑うとわたくしも笑う 古久保和子

気がつけば私は白い梅だった 居谷真理子
こころ空しく風の音水の音 牧野 芳光
赤ん坊の無心に叶うものはない 北野 哲男
天国に行けば無心になれるかも 大西 將文
生も死も一時預けて大ジョッキ 生田 頼夫

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