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前田咲二遺句集 平成10年』➍
心冴える刻をしずかに待つ匠
焼き芋を包むやっぱり新聞紙
疾しいところがなければああは騒ぐまい
ひもじくて田辺聖子を食べている
胃カメラに見られるぼくの不行状
わがままなわたしがしゃしゃり出て困る
馴れそめも別れも傘は知っている
ニンニクの臭いチャンスをふいにする
古女房の鼾が二階まで届く
核の祈り届かぬインドパキスタン

そこまでやるか犬の首輪の万歩計
バタヤンのギターにふるさとが揺れる
いい歳をして投げキッスなどするな
同床異夢しばらく見つづけていよう
塔を映して吉井勇の川がある
人間の弱さ背中に夜叉を彫る
ネクタイを結ぶと男走り出す
手さぐりにしては急所を突いている
長兄として亡父そっくりの笛を吹く
ながい付き合いしたくて愛は口にせず

釘を打つおんな扱うように打つ
豆腐の角ぐらいの意地は持っている
ライバルが待ちくたびれるまで眠る
肩書きを捨てると路が見えてくる
ラストシーンはきれいな恋でしめくくる
小島功のカッパが酒をつぎにくる
マツリニハカエルサンマノスシタノム
流されているとわかっていて流れ
老醜を晒さぬように暑に籠る
ゼニの重さもゼニの軽さも知っている

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『前田咲二遺句集平成10年』❸ 袋絵の花を信じて種を蒔く トーストも愛もこんがり焼いてます 蕾のうちに摘まむ情けもあるのです 千の手に千の閃き千の迷い その話聞き捨てならぬ 猪口を置き さくらさくら亡... 「手のなかに師・前田咲二❸‥《五十年 夫婦に削るものがない》(前田 咲二)」の続きを読む
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(8日、記す) 6日。早朝大雨。大会出席をあきらめようと思ったが、前日ある柳人から前田咲二先生の資料を持ってきてくださるというお電話をいただいていたので、迷っていた。そのうち小降りに。和歌山市駅8時5... 「第24回 川柳塔まつり‥《カラフルを咲かせてわたくしの孤独》」の続きを読む
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