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 いま4時44分。すでに明るい。もう30年以上過ごしている4階の南向きの自室で、ぼんやり知友の誰彼のことを考えている。薄く濃く、この世でのご縁だったのだなとふり返る日もやがて来ることだろう。まだまだ元気だが、そろそろ終活の準備もしていかないといけないのかもしれない。

 誰もが、自分だけの物語を編みながらいまを生きている。せめて息子や娘にはその物語を受け止めてほしい、と心では願っているものだ。老いてから息子の空海をたずね、はるばる高野山のふもとの九度山までやってきた御母公(おははぎみ)。晩年の母のもとへ月に何度も下山して通った空海。かの人は母のそばでどのような時間を過ごしていたのだろうか、とふと思う。

 きっと静かに母のはなしに聴き入っていたにちがいない。超人・空海としてではなく、ひとりの息子として。いま九度山の伝説をふくらませ、そんなふうに人間・空海に思いを馳せている。母にとっての晩年のやすらぎとは、息子や娘とのそうした時間だろう。自身の多くの時間を割いて精魂かたむけて育て上げたのである。空海はその母の想いに応えたということ。

 どこでも、その地に吟行に出かけたいという思いはつねになにかに突き上げられるような衝動があってのこと。今回は近いので友だちと一泊して歩いてくるつもりだが、吟行のテーマは「母と息子」、わたし自身のことに引きつけて詠んでみたい。
(※慈尊院は弘法大師空海が弘仁7年(816)に開いた古刹。本尊の弥勒仏坐像(写真)は国宝。)

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