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 人生90年、100年の時代に我われは生きている。古代インドでは人生を4つの時期に区切った。「学生期(がくしょうき)」「家住期(かじゅうき)」「林住期(りんじゅうき)」「遊行期(ゆぎょうき)」。「学生期」で学び、「家住期」で働き、家庭をつくり、子供を育てたあとに、人生の稔りの時期「林住期」を迎える。日本人はよく働くが、人生はよりよく生きることが目的で、働くことは多くの場合そのための手段である。働きバチで一生を終わってはならない。これから寿命はもっと長くなるかもしれない。もし90歳まで生きるとしたら4つの時期はおおよそ下記のようになるだろうか。

「学生期」0~25歳、「家住期」25~49歳、「林住期」50~74歳、「遊行期」75~90歳

 〈自分探し〉というコトバが流行って久しいが、本当にやりたいことは何かを自分に問いかけ、実行する時期が、だいたい「林住期」なのではないか。それまでは忙しさゆえに考える余裕もなかったかもしれない。「林住期」にさしかかった人は、たとえば生活の足しにはならない(儲けにならない)ことに取り組むことを考えてみるのも悪くない。「林住期」は本来の自分を取りもどすとき。さらにジャンプ、知らない世界に向けて離陸するときでもある。

 まず独りになって自分を見つめる。独りになることをけっして恐れてはいけない。持ち物や人脈の簡素化をはかる。必要なものはじつは驚くほど少ないのである。しかし自分を見つめるだけではいけない。周囲を見つめ、理解し受け入れる時期でもあるだろう。一人の人間として向き合うことを考えなければならない。物理的に離れて暮らしていても、結びつきを深めることは可能である。いま国民の最大グループである「林住期」に属する団塊の世代が、これからしばらくこの国の文化と精神の成熟の担い手になる。すでに「家住期」において家族や他人のために献身する義務は果たしてきた。これからは自己の本来の人生に向き合うときなのである。

 人間としてこの世に生まれてきたこと自体が奇跡なのだ。それほど希有な機会を享け得た我われは、こんどは自己の本来に対しての義務を果たさないといけない。こころが求める生き方をすべきなのである。好きな仕事があるならそのまま続けるのもよい。「林住期」という第三の人生を心ゆくまで生きるのが人間らしいあり方なのである。ただ「林住期」をどう過ごすかは「家住期」からその構想を練るべきである。社会に貢献し、さまざまの義務を果たし、それから一個人としての豊かな稔りの時間を持ちたいものである。

 私はペンと紙をもって全国を歩いている。文芸のジャンルは違っても、西行、芭蕉、放哉、山頭火と生き方はおなじ。ありがたいことに全国あらゆるところで川柳の句会大会は開催されている。それを日程に組み込んで、吟行を目的とする旅をする。柳友はどこにでもいて歓迎してくれる。川柳をはさんだ人間関係、旅は豊かである。

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