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 送っていただいたポケットの水たまり』は、まったくことばを飾らない川柳だった。この句集がまだわたしの手元にないことを、知っておられたのだろうか。

 森中惠美子先生と電話でしばらくお話しさせていただいた。これから先生とお話しするときには筆記用具を手元に置いておかねばならないと先日も思っていたのに、つい忘れてまた後悔することになった。ブログに記すときにはわずかな誤謬も許されない。あいまいな記憶のままでは記せないのである。

 是非先生に近い方々に先生のことばを書きとめておいていただきたい。含蓄のあることを、川柳家らしくことばを択んで話された。先生は、お話しがそのまま川柳なのである
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『ポケットの水たまり』(森中惠美子)から抄出30句
身のうちに春だ春だと言い聞かす
リュックサックも風水の決めた色
新しい暦を逃げてゆく二月
ファスナーをゆっくりひらく春だなあ
二人揃って淋しきものよひな飾る

耳の日の耳にとどかぬものばかり
丸く生きるか尖るのもよしとする
聞く耳を持たぬと言っていない耳
いしぶみへ女のひとり言を置く
ゆっくりと独りをきざむ水の音

死に水は日田のお水と決めている
雨の日のノートは死後のことばかり
水府忌のその死に顔を知る一人
幻の酒まぼろしのひとと酌む
胡麻豆腐いのちへ届くやさしさよ

いしぶみの文字をたどっている十指
人間を畳んでみたいときもある
歳月のどのあたりから老いたのか
酒が好きひとりの酒はもっと好き
七草のひとつひとつがあたたかい

地球はまるいおひとりさまもまるい
独りとは痒いところにとどかない
無技巧の技巧ミルクがあたたかい
遺書になる色紙の墨を滲ませる
息吸って吐いて男の値をきめる

にぎやかな口でまわしているお皿
死に水は天から地からいただこう
鍵のおとほとけと二人ぼっちだな
仏の花とわたくしに買う赤いばら
たましいに咲く夾竹桃もヒマワリも

(※この一冊にはまだまだ掲載させていただきたい句があるので、あとでまたアップさせていただきます。)

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