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 新渡戸稲造(にとべいなぞう)が『武士道(Bushido)』を刊行したのは1900年。日清戦争と日露戦争の間で、日英同盟締結の2年前だった。

 新渡戸の『武士道』は、武士道に象徴される日本人の生き方と考え方を紹介しているのね。儒教と仏教のよいところを継承、〈義〉〈勇〉〈仁〉〈礼〉〈誠〉と、名誉を重んじた。〈ノブレス・オブリージュ〉、身分にともなう義務を包含しているのは西洋の騎士道とも共通するところよね。

 東日本大震災で、被災者が整然と並んで配給を待ち、暴動などが起こらなかったことに世界中から賞賛の声が集まった。他国から見たときには、これも日本社会に脈々と息づいている「武士道」的精神なのね。『武士道』で新渡戸は、武士道は知識ではなく実践を求めるものであるとしている。

 桜は日本の国花だが、世界的に見ても花が咲くのを国中が待ち焦がれるようなことはあまり例がないのだとか。桜に魅了され続けてきた日本人の心とは如何なるものかと思うのね。美しく咲き誇ってもあっという間に散ってしまう桜は、日本人にとって生き方の美学であると同時に生と死の象徴でもあったのね。

願はくは花の下にて春死なむそのきさらぎの望月(もちづき)のころ
 上記は、平安末期から鎌倉初期を生きた西行の有名な歌。歌意は “願わくば桜の下で春に死にたいものだ。お釈迦さまが入滅された(陰暦)2月15日の満月の頃に” 。日本人はむかしから桜に感じ、桜とともに生きてきたような気がする。ちなみに西行の俗名は佐藤義清(さとう・のりきよ)武士だったのね。西行は号で、僧名は円位(えんい)

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