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蟻食ひ
正直に働く蟻を食ふけもの
蟻たべた腹のへるまで寝るいびき
蟻食ひの糞殺された蟻ばかり
蟻食ひの舌がとどかぬ地下の蟻
蟻の巣を掘る蟻食ひの爪とがれ
やがて墓穴となる蟻の巣を掘る蟻食ひ
巣に籠る蟻にたくわへ尽きてくる
たべものが尽き穴を押し出る蟻の牙
どうせ死ぬ蟻で格闘に身を賭ける
蟻食ひを噛み殺したまゝ死んだ蟻
 
パンを追ふ群衆となって金魚血走ってる
工夫等の汗へすぎてく避暑列車
 
しゃもの国綺譚
昂奮剤を射された羽叩きでしゃもは決闘におくられる
稼ぎ手のをんどりを死なしてならぬめんどりの守り札
賭けられた銀貨を知らぬしゃもの眼に格闘の相手ばかり
決闘の血しぶきにまみれ賭けふやされた銀貨うづ高い
遂にねをあげて斃れるしゃもにつづく妻どり子どりのくらし
勝鬨あげるしゃもののど笛へすかさず新手の蹴爪飛ぶ
最後の一羽がたほれて平和にかへる決闘場
しゃもの国万才とたほれた屍を蠅がむしってゐる
をんどりみんな骨壺となり無精卵ばかり生むめんどり
をんどりのゐない街へ貞操捨て売りに出てあぶれる
骨壺と売れない貞操を抱え淫売どりの狂ふうた
 
稼ぎ手を殺してならぬ千人針
銀針に刺された蝶よ散る花粉
避暑客の汗を一人で流す火夫
枕木は土工の墓標となって延るレール
泥濘をよける気のない程疲れて帰る
泥濘の長屋へすくむ視察団
召集兵土産待つ子の夢を見る
 
蜂と花園
花園の蜜をあつめて奪られる箱を与へられ
蜜箱空っぽにする手を知らず稼ぐばかりの蜂である
蜂に蜜吸はれつくした花園凋んで散って咲かない
新しい花園を襲ふ働き蜂の剣の毒
襲ふてくる蜂の毒剣へ花園の蜂も毒の剣
蜂ら刺しちがへて死んで花園を埋めてる
 
高粱の実りへ戦車と靴の鋲
屍のゐないニュース映画で勇ましい
出征の門標があってがらんどうの小店
万歳とあげて行った手を大陸へおいて来た
手と足をもいだ丸太にしてかへし
胎内の動き知るころ骨がつき
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