井伏鱒二(いぶせ・ますじ)が唐の詩人于武陵(う・ぶりょう)の漢詩「勧酒(かんしゅ)」を口語訳したものを記す。五言絶句。
コノサカヅキヲ受ケテクレ
ドウゾナミナミツガシテオクレ
ハナニアラシノタトヘモアルゾ
「サヨナラ」ダケガ人生ダ
「サヨナラ」ダケガ人生ダ、とは「人生に別れはつきもの。(さあ、くよくよせずに飲み干したまえ)」の意。
私の川柳は、別れに始まる哀しみや、それに付随する感情を詠んだものが多い。ことに親族との死別は、その日から故人への想いが生前以上に膨らむもののようである。創作上の大きなテーマの一つと言ってよい。下記は近作、川柳マガジン2月号に掲載された「特別十句詠」。上のテーマを掘り下げている。
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えんぴつをけずる たむらあきこ
きみの訃を噛むいちにちが動かない
火も水も封印される大落暉(らっき)
答一つ据えて柩というかたち
真昼間のうつろが白く咲いている
黴(かび)としてわたしの中に入り込む
哀しみは泥へきのうを脱ぎ切れず
かさぶたの下から少しずつ芽吹く
がんばるという這い方になっている
折り合いもつけねば明日が遠くなる
常套(じょうとう)は踏まぬえんぴつだけけずる
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