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 妻につき我に抗ふ幼子を憎し憎しといひて抱き締む 寝屋川市 前田 炸二
 前田炸二 本名作自。大正15年和歌山県に生まる。海軍兵学校卒。日本海(通?)運吹田支店勤務、34年から毎日歌壇に投稿、特選70回、35年に歌壇賞を受賞。現住所大阪府寝屋川市大字太秦137の13。

取材は自明なもので、夫が何か口叱言をいい、妻がそれに対して口ごたえをしたという程度のことだったと思われる。そばにいた幼子は、幼子の本能として母の肩をもち、父に反抗したのである。
「憎し憎しといひて抱き締む」は巧妙である。「憎し憎し」は父としての権威を見せたもの。「抱き締む」は、幼子のかしこさに眼を無くしての表現で、夫妻あい見て明るい笑いになった情景が想像される。叙事がそのまま叙情となり、やや複雑した気分を極めて単純に現わしているところ、巧妙というべきである。愛情に充ちた家庭生活の一こまで快い作である。(窪田空穂)

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 6日の瓦版句会で、会長から古い新聞を2枚いただいた。1枚の日付は、昭和39年(1964年)2月29日(土曜日)とある。ほぼ半世紀前の毎日新聞。昭和38年度下半期の毎日歌壇賞受賞者として前田炸二(現瓦版会長前田咲二)の短歌が写真とともに晴れがましく掲載されている。
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 若葉もゆる那智の樹海をわたり来し風の強さよ息出来ぬまで 新宮 前田 炸二
 本名作自、大正15年和歌山県生まれ。海軍兵学校卒、日本通運吹田支店勤務。本格的にはじめたのは34年から。毎日歌壇には2年間に特選20回。新宮市に住み、昨年寝屋川市大字太秦137の13に移った。

いかにもすっきりとして、心持のよろしい歌だ。那智の大滝のしぶきも、その風にまじっているに相違ない。短歌は、一本に調子が貫いていなければいけない。くねくねと折れ曲がったのでは調子がつかない。この一首は朗々として誦すべき詩歌の本質を失っていない。それも大切なことである。この一首の次には西宮の長縄貞子さん「百年の後には一人もゐなくなる不思議おもひて街角に立つ」が佳作と考えられる。けれどもこの方は、観念が表面に浮き出ているうらみがある。小生は自然諷詠よりも、何かものを考えさせてくれる歌の方が好きなのだけれども、長縄さんの一首には、それほどの深みはない。それで前田君の方を特選とした。(川田順)
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 上記は2枚目。日付は、昭和36年(1961年)2月25日(土曜日)とある。1枚目よりさらに古い。昭和35年下半期の毎日歌壇賞受賞者として、こちらも前田咲二会長の若き頃(30代)の写真付きである。

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  1. りょーみさすけ on 2013年7月8日 at 9:40 AM :

    「人には歴史あり」―いいものを見せてもらいました。次は短歌から川柳へ移行した前田会長の経緯が知りたくなりました。

    「高齢者の種類」
    ① まだ若い人
    ② 昔は若かった人
    ③ 一度も若かったことがない人

    会長は思えば、自然のものを食しているからいつまでもお若いのでしょう。 !(ノ^-^)ノ ̄ w(°0°)w オォー w(°0°)w オォー

    • あきこ on 2013年7月8日 at 9:58 AM :

      りょーみさすけさま
      毎日新聞の歌壇賞ですからねえ。
      それも、4年間で70回特選ですからね。俳句もそれ以上のはずだから、川柳もあわせると短詩型文芸の天才と言っていいでしょうね。
      お元気なうちに出版されるよう、またやかましく言っておきますねー。

  2. 伊東志乃 on 2013年7月8日 at 11:03 PM :

    短歌、俳句、川柳、短詩型文芸の天才か………
    素晴らしいですね∈^0^∋
    私も頑張ってみます(^○^)

    • あきこ on 2013年7月8日 at 11:27 PM :

      伊東志乃さま
      いま富山県と芭蕉の接点をネットで調べていたところ。
      立山連峰の画像もうっとり眺めていました。
      少しずつ、富山を歩いてみようと思います。
      うちの先生は実力派ですからね。あちこち編集部としてお供しましたが、大会ではいつもいつも秀句。一見普通のようで普通でない句を詠まれるのがうちの先生。コトバの魔術師ですね。

      • 伊東志乃 on 2013年7月9日 at 6:56 PM :

        一見普通のようで普通でない句

        嗚呼、それが私の理想です(*^^)v
        才能か………努力か………挑戦するしかないですね(^^)

        • あきこ on 2013年7月9日 at 9:54 PM :

          伊東志乃さま
          はい。おたがいに頑張りましょう。
          結局は、自分の句を詠まないとだめなんですよね。誰かの句の二番煎じのような句では話になりません。
          1句ずつ、闘いですよね。

          • 伊東志乃 on 2013年7月9日 at 11:03 PM :

            はい、自分との闘いです>^_^<

            立山の雪はすっかり消えて、今は渓谷の雪の筋だけが白く見えます。今は青山です。
            申し訳ありませんが、27日は仕事の為、お会いすることは出来ないです(O.;)残念です(;。;)

  3. 竹内いそこ on 2013年7月9日 at 7:57 AM :

    あきこさま おはようございます
     さすが咲二先生 一見普通のようで普通でない句 ですか。
     こういう句を目指したいですね。修業します。

     今日の起床時間は四時、まだ夜明け前で暗かったです。山の方に雲がかかっていたのでしょうか。もう七時では晴れあがってきたようです。じわじわと気温があがり猛暑になりつつあります。
     
      早稲の香や分け入る右は有磯海    
     もうすぐ奥の細道で詠まれたのこの季節になるのでしょうか。芭蕉はずっと海沿いを通っていますね。上の句は 富山県のまん中射水市のあたりの句だそうです。
     
     富山ゆかりの歌人では、万葉集の大友家持で越中の国司として滞在中に各所で短歌が数多く残されています。伏木(高岡市)に記念館がありますよ。
     芭蕉コース、家持コースどちらもご案内しますよ(^^)

    • あきこ on 2013年7月9日 at 8:59 AM :

      竹内いそこさま
      お世話になりっぱなし。
      観光というよりは、その地を五感を傾けて味わうために少し彷徨ってみるというのがあきこ流。(みんなで観光、というのも以前はしていましたが)
      自分の内側を覗くために歴史的な風景にも触れるというか。
      今回はランチ(地元系)だけご一緒。しばらく川柳の話でもしましょう。あと近くで集中して作句。

  4. 竹内いそこ on 2013年7月9日 at 9:00 PM :

      はい (^^)y
     作句の秘訣とか、咲二先生とかナマのさすけさん、瓦版の句会のお話などたっぷり・・・伺いたいです。
    27日の特急の時間がわかりましたら、連絡ください。
     お待ちしてます。

    • あきこ on 2013年7月9日 at 9:50 PM :

      竹内いそこさま
      この間とおなじ時間(13時)で。少し遅い昼食のほうが混んでいなくていいかも。
      地元の食材を使っているならなんでもいいので。駅のすぐ南にあるビルにそんなのがありましたよ。暑いから、そこでどうかな?

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