2025 川柳クリニック7月号掲載分
原 笑顔からつらい介護を頑張れる 成澤 治雄
誰の「笑顔」かを書くと句に説得力がそなわる。
添 母の笑顔つらい介護も頑張れる
原 写真家よツバメの帰還待てず逝く 川嶋 詩音
著名な?「写真家」は「〇〇〇(さん)」など固有名詞で。
添 〇〇〇ツバメの帰還待てず逝く
原 吉報のメールにメガネ掛け直す 松本 理子
このままで。
原 神様のお客が店に無茶を言う すずき善作
このままで。
原 見上げたらあいた口へも花吹雪 小松くみ子
情景がよくわかり、内容も面白い。このままで。
原 辛いのも一ツ努力を足せば幸 和泉 雄幸
「一ツ努力を足せば幸」が何故なのか、まず句意が分かりにくい。
添 すこし努力を足せば辛さも解(ほど)けだす
参 すこし努力も足して辛さを乗り越える
原 魔法の手指の先きから笑顔うむ 中山 美則
「魔法の手」とは、たとえばマッサージ師の手などだろうか。内容にもう少し具体性を。
添 魔法の指先が笑顔を生んでいる
参 マッサージ師の手先笑顔にしてくれる
原 春が来た「彼女が欲しい」「彼ほしい」 野口 風師
このままでもよいが。
添 「彼女が欲しい」「彼がほしい」の春が来る
2025 川柳クリニック8月号掲載分
原 「マテ」守るヨダレタラタラ目が泳ぐ 小松くみ子
十七音という制約(定型)のなかでなにが省略できるか、なにを省略すべきかを考える。
添 「マテ」守りヨダレタラタラぼくの犬
原 散り際が肝心ですよとお節介 川嶋 詩音
作者が「お節介」と感じたのは、人の「散り際」に触れたからだろう。逝き方など人それぞれ、他人が口出しできることではない。
添 散り際が肝心などとお節介
原 〝つづく〟とある来週買わせるつもり トニー荒川
詠む内容、なにを詠むかをもっと考えていただきたい。
添 買わせたいからか〝つづく〟とする雑誌
参 ストーリー追ってわくわく待つ続き
原 いくつもの修羅場で磨く人間味 成澤 治雄
句の内容的には以前からよくある句。欠点はないが、だれも詠んだことのない切り口に挑戦していただきたい。このままで。
原 消費者はお試し価格についコロリ 柳村 光寛
添 お試し価格つい引き込まれ損をする
原 ガザの子らご飯食べたか空を見る 大和 峯二
このままで。かの地への作者の気持ちが切々と心にひびく。
原 二度童子母の襁褓(むつき)を取り換える すずき善作
このままで。
原 リュックにもワクワク感を詰め込んで 松本 理子
添 旅のワクワク感もリュックに詰めている
2025 川柳クリニック9月号掲載分
原 残された使える刻を前向きに 川嶋 詩音
わずか十七音、川柳では何が省略できるかをつねに考える。
添 残された時間を前向きに生きる
原 選挙近し愛想振り撒く立ち話 林 進
このままで。「立ち話」も選挙活動。
参 選挙近し愛想ふりまく立ち話
原 チャレンジの楽しさ生かし生きている 大和 峯二
添 チャレンジが僕を生かしてくれている
原 茶ばしらがやる気起こさす今日試験 小松くみ子
添 試験日の茶ばしらやる気起こさせる
原 素麺に代えてお米のお中元 小林 笑明
このままで。時事川柳。
原 肩叩回数券で義理果たし 中山 美則
誰への「義理」なのか、また「義理」のことばは適切かどうか。
添 肩たたき券で許してもらう老母(はは)
原 ニンゲンで良かったか罪多すぎる 菜々子
いまだに続く戦争という名の殺し合い。問題の根幹にある「近現代の社会を成り立たせている思想」と、現代のあらゆる場面にみられる「石油に依存する暮らし方」。石油に依存し、自然という資源を食い尽くす文明がその必然としてもたらす果てしない環境破壊の先に、希望の未来はあるのだろうか。
添 罪の多さよニンゲンで良かったか
原 グッバイとハロー飛び交い風光る 野口 風師
添 風光るハローグッバイ飛び交って
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・吉報のメールにメガネ掛け直す
への「このままで」は、適切な選評だと思ひます。
と賛同したうへで、老生は片仮名省略主義者ゆゑ、つい、
・吉報のメールに眼鏡掛け直す
としたくなるのですが、これは古いですかね。 板坂壽一
板坂壽一さま
メールとメガネ、片仮名が二つ、近いこともあり、眼鏡でいいかもしれません。
原句尊重ということで、なるべく原形をとどめるよう、考えて添削。
この句の場合、とくに直すことはないと片仮名のままにしています。
コメント、ありがとうございました。(^-^)