表題の句、多くの川柳作家にとってはじつは難解というほどのことはない。現代川柳にはいま、「暗喩の文芸」と言ってよいほど暗喩が多用されているのね。
この句がよく分からないかたのご参考のため、下に分かりやすく句意(一例)を記してみる。ちなみに、掲句は川柳マガジン5月号発表川柳睦月賞「走る」であきこが”地”に採らせていただいた句。
【難解句鑑賞】
思い出を走らせているがらんどう(阿部の天気)
「がらんどう」とは何か。小学館デジタル大辞泉によると、「中に何もなくて広々していること。また、そのさま。」とある。用例としては、「がらんどうな(の)部屋」。また、類語としては、「空ろ・空洞・空虚・虚(うろ)」など。家や部屋、器などの中に何もないこと。また、そのさま。
がらんとして広いことなのね。第46回すばる文学賞受賞の小説に「空洞を抱く」を改題して「がらんどう」としたという大谷朝子氏の小説がある。
ここまで書くとすでにお分かりだと思うが、「がらんどう」は作者の心の状態・有様の暗喩。心が空虚で「がらんどう」であるというのである。ひとり暮らしの年配者かも知れない。その心を、「思い出」すなわち過去がざわざわと去来する。わずか十七音のなかに表現されている作者の深い孤独感が、読む者に沁みてくる。(たむらあきこ)
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