川柳マガジン2021年11月号掲載 超!柳派「波乱」「雑詠」
課題特選
自爆テロ野に放たれた犬がいる 上野 楽生
秀一
ぶすぶすと燻ぶっている世界地図 田畑 宏
秀二
言葉にも異物混入したようだ 森口かな江
秀三
ノーと言う兵隊さんがいてもいい 菊地 良雄
佳作
吞みこんだことば波乱の種を持つ 常國 喜好
身ひとつで良いのと菊の乱気流 鮎川 弘子
ひと波乱必ず入れる脚本家 日野 裕子
ケンカする度に二人は近くなる 岡本 恵
座布団は番狂わせを待っている 西山 竹里
切る殺す碁盤が息を吞んでいる 中前 棋人
傍目にはコップの中の大波乱 お じ 丸
つい本音吐いて波乱の幕が開く 有馬 吟友
ひと波乱越えて私を組み直す 中村 孝子
テレワーク夫がいつも家に居る 木嶋 盛隆 (以下略)
雑詠特選
すり減った翼をリニューアルしたよ 茂木かをる
秀一
昨日とは違う長さの今日だった 岸井ふさゑ
秀二
ご先祖さまになってしまった父と母 松井 逸馬
秀三
乱調も込みでこの世の席にいる 佐瀬 貴子
佳作
通夜更けて棺の上で鳴るスマホ ロッキー田中
重荷にはならぬつもりで生きている 笠嶋 祥子
アルバムが恋しくなると黄信号 青山 南
複雑にすると出口が逃げていく 嘉山 和美
ただいまを待っててくれたこの手摺 茶木 薫
出来るならクラゲに生まれ変わりたい 油谷 克己
トラブルが徒党を組んでやってきた 竹平 和枝
ちっぽけなプライド一つ持て余す 牧野 敬子
見えぬ目の涙に涙パラの金 佐藤 国喜
曇天が日がな相手をしてくれる 黒田 弥生(以下略)
選後感想
課題特選、無差別攻撃で、より恐怖心をあおることを意図したテロが拡大。秀一、燻ぶったり、ときどき火を噴いたり。「ぶすぶすと」が効いている。秀二、新型コロナワクチンの「異物混入」問題にヒントを得た。発端は聞き捨てならぬ誰かの言葉だったと。秀三、上官の命令には絶対服従の軍隊。反戦平和への声はどこからでも。雑詠特選、「リニューアル」した翼でもう一度大きく飛びたいと。加齢による不調を治療することで乗り越えたのだろう。秀一、一日を長く感じるのは面白くないことのあったとき。逆に短く感じるのは嬉しいときだろう。作者にとって「今日」はどちらだったのか。秀二、両親が、「先祖」という存在になってしまったことへの感慨。秀三、人生は諧調ばかりではないと。乱調もあることを当然のこととして受け容れる。
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