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 コロナ禍で、4月の開講以来のレクチャー。5月8日のレクチャーに用いる予定だった資料を、日付だけ変えて使うことにした。
 (なりゆきで)まず宿題の互選から。お題は「コロナ」「模様」「花」「空」「白」。講師宅に送ってきていただいた作品をワードで清記、コピーをお渡しして選んでいただいた。下記は、講師選。
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◎わたくしも変異しながら強くなる「コロナ」
◎まんじゅしゃげたましい帰る道しるべ「花」
○表情を隠すマスクに救われる「白」
△私の人生模様もつれだす「模様」
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 【鑑賞】は時実新子。お渡しした資料の句(下記)を鑑賞していただいた。【実作】は、時間の関係で1題のみ。即吟で、「新しい」を5分で各3句詠んでいただいた。続いて講評。受講生は手直しして、宿題「ぐらぐら」「星」とともに8月末までに講師宅まで送付のこと。清記して、次回の互選に使わせていただく。互選、合評はどうしても時間を食うので、少々時間切れ。予定の「川柳という文芸について」と4月の講師への宿題、《惜しみなく愛は奪えと曼珠沙華》(橘高薫風)の鑑賞文はプリントをお渡しするのみ。次回、説明させていただくことに。
 下記は、本日お配りしたプリント6枚(1枚は略)。ご参考まで。
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★★耐久生涯大学 川柳専科
8月7日(土)13:00~14:30

❶川柳という文芸について(プリント)
宿題 ⓐⓑⒸのいずれかについて思ったことを書く。

❷【鑑賞】(時実新子) 別紙

 惜しみなく愛は奪えと曼珠沙華  (橘高 薫風) 

❸「コロナ」「模様」「花」「空」「白」(清記)の互選と講師選、講評ほか

➍【実作】さっそく五・七・五で詠んでみましょう。お題は「  」「   」「   」。別紙使用

(時間があれば)互選と講師選、講評ほか。(以下、メモ)



❺宿題「ぐらぐら」「星」(8月31日までに各2句、講師宛送付のこと。)

講師住所:640-8007 和歌山市元寺町西ノ丁7
シティハイツジュエル405  たむらあきこ
携帯:090-6069-3262 ℡fax073-42-7326

★★【実作】さっそく五・七・五で詠んでみましょう。お題は➀「  」②「   」③「   」。(よい句ができれば川柳大会に応募可。)

(時間があれば)互選と講師選、講評ほか。(以下、メモ)



★★【鑑賞】
時実新子
1996年8月「月刊川柳大学別冊 時実新子の世界」に掲載された「時実新子自選百句」から転載。

風の駅まもなく電車が入ります
れんげ田を千枚越えて逃げられぬ
どうしても好きで涙が膝に落ち
どこまでが夢の白桃ころがりぬ
もしかして椿は男かもしれぬ
束の間の幸せなれば啼き交す
逃げてきた町で鰯を手掴みに
舟虫よお前卑怯で美しい
昏睡の人にぎっしり木の蕾
まんじゅしゃげは九月の花のその九月
わが胸で伐採音の絶え間なし
君は日の子われは月の子顔上げよ
私の男むかしの服は着せませぬ
ああ肉よモネの睡蓮天に咲く
雨の日のダイヤル通じそうで切る
一つだけ言葉惜しめばまた逢える

★★川柳という文芸について(文:たむらあきこ)
―一行詩(川柳・短歌・俳句)についてー 

 日本では、明治になるまでは〈詩〉といえば漢詩を指していた。文学の一形式として〈詩〉の語をつかうようになったのは『新体詩抄』などから。

 詩の定義については、詩を定義しようという試み自体が見当違いであるとした、アーチボルド・マクリーシュ(1892-1982)『詩論』の詩につぎの結びがある。「ⓐ詩は意味してはならない/存在するのだ」。

 詩には直喩や隠喩(メタファー)などの修辞技法がある。古代ギリシアの哲学者アリストテレス(前384-前322)の『詩学』には、「ⓑ何よりも偉大なことは隠喩の名手であることだ」と書かれているとか。隠喩は鮮明なイメージを結ぶ。(現代川柳では)思いがけないイメージを並置させることが句を重層化させることにつながる。また、隠喩の鮮明なイメージには象徴性がある。

 川柳とおなじ五七五形式でも、俳句は17世紀に俳諧における連句の最初の句である〈発句(ほっく)〉から発展形成された詩型。俳句には切れ字と呼ばれることばの流れを切る語が用いられ、また季語と呼ばれる季節のことばが含まれている。

 短歌は、〈5-7-5 7-7〉の型に構成された、5つの部分からなる詩の形式。前半の〈5-7-5〉(上の句)と後半の〈7-7〉(下の句)のあいだで調子や題材に転換があるのがふつう。奈良時代に、それまでは中国から借用した形式による詩がほとんどだったが、そこから抜けだした。13世紀までに短歌は日本のもっとも有力な詩型となった。連歌といわれる多人数による短歌の連作も行われた。また短歌形式で風刺や滑稽を盛り込んだものは狂歌と呼ばれる。

 一行詩は風刺の強い媒体になりうる。韻文で放たれた侮辱の一矢は、散文で書かれたものより強く記憶に残るものになる。平安時代より狂歌が書かれ、匿名で掲示して政治批判などを行う落首(らくしゅ)の慣行があった。寛政の改革を諷(ふう)した《白河(しらかわ)の清きに魚のすみかねてもとの濁りの田沼こひしき》はよく知られている。現代は、時事川柳が主に政治を諷している。

 『詩経(しきょう)』序に”詩者、志之所之也。在心為志、發言為詩。(詩は、志の之(ゆ)く所なり。心に在るを志と為し、言に發するを詩と為す。)”とある。 すなわち、詩とは志の赴(おもむ)くところである。それが心の中にあるのが〈志〉、ことばとして発したものが〈詩〉であると。Ⓒ詩とは、こころざしなのである。 (注 詩経:中国最古の詩集。BC12世紀~BC6世紀、約600年間の詩が305編集められている。)

★★惜しみなく愛は奪えと曼珠沙華  (橘高 薫風) (文:たむらあきこ)
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 「惜しみなく愛は奪ふ」は、有島武郎(ありしま・たけお)が著した評論作品。もう百年も前、1920年発行の有島武郎著作集第十一集『惜しみなく愛は奪ふ』(叢文閣刊)の巻頭に掲載されている。

 有島武郎の「愛」に関する思想が綴られた作品。人を愛するということは、相手のすべてを奪って自己のものにすることという思想。俳人の三橋鷹女(みつはし・たかじょ)はこれを援用して「鞦韆(しゅうせん)は漕ぐべし愛は奪ふべし」という、有名な句を詠んでいる。句意をいえば、鞦韆はブランコのこと。ブランコは漕ぐ。そして愛は奪わなければ愛している気がしないと。ゆるい愛ではだめ、愛を自分のものだとは感じないと。ブランコは、漕げば漕ぐほど高くなり、怖くなっていくもの。漕ぐべしと。それが、愛は奪ふべしに繋がる。

 表題の句の作者橘高薫風(きったか・くんぷう)も有島武郎の影響を受けたのか、自分の句に援用した。しかしなぜ曼殊沙華(まんじゅしゃげ)(彼岸花)なのか。辞書によると曼珠沙華は仏語(仏教用語)で、赤く(一説に、白く)柔らかな天界の花なのだとか。見る者の悪業を払うといわれ、天人が雨のように降らせるのだとか。妖艶で、花期の短さにもかかわらずこれほどの異様な存在感と迫力をもつ花はないだろう。鮮血を思わせるその色彩ゆえか、シビトバナなどの不吉な異名もある。

 二物衝迫、橘高薫風は曼珠沙華にどんなイメージをもっていたのか。曼珠沙華にはその印象的な赤さゆえか、「情熱」「思うのはあなた一人」といった花言葉があるようだ。花言葉を知っていたわけではないだろうが、そのあたり、または上記のことを直感的に受け止めて詠んだ句なのだろう。  

★★耐久生涯大学川柳専科 互選(2021年8月7日)

「コロナ」
コロナ菌人科を試す神の使者
副反応罹患で心揺れている
コロナ、心の叫び気分入れ
コロナ君そろり終活なさいませ
アマビエも手に負えないかコロナ菌
戦時中思えば自粛耐えられる
わたくしも変異しながら強くなる
世の中、コロナで一変終息願う昨今  

「模様」苦い日もまだらに見えている甘さ
私の人生模様もつれだす
施設入所一年迎える夫想い心模様
自分史を好きな模様で現在地
花散って若葉の模様だけ揺れる
会議では模様ながめの卑怯者
空模様ばかり気になる主婦農家
部屋の模様がえ気分明るく前進のみ  

「花」「空」「白」
何色が好きかといえば純白
白濁の僕は一体何者ぞ
白紙には戻れないけど起き上がる
雪ダルマ消えゆく姿悲しげに
白飯に感謝父慕(おも)う
表情を隠すマスクに救われる
空豆のご飯を炊くと祖母想う
知らない言葉と異空間に遊ぶ
大空よちっぽけな事悩んでる
天高くハングライザー自由です
雲切れて角材のような陽の光り
姉妹暮した生家空青し
まんじゅしゃげたましい帰る道しるべ
桐の花源氏の君に会えたかな
故郷のみかんの花の香に酔う
残りの人生心明るい花模様
焼香を待つ背に桜舞おりる  
わたくしは花よりだんごがだーい好き

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⦅220⦆耐久生涯大学川柳専科(レクチャー)”にコメントをどうぞ

  1. 岡本遊凪 on 2021年8月10日 at 10:35 AM :

    たむらあきこ さま
     残暑お見舞い申し上げます
    耐久生涯大学川柳専科での資料提供を有難うございます。
    ・鑑賞ー時実新子ー
    ・「川柳という文芸について」ー一行詩(川柳・短歌・俳句)ー
     等を参考に自習させて戴いております。
    今後ともよろしくお願い申し上げます。

  2. たむら あきこ on 2021年8月10日 at 10:55 AM :

    岡本遊凪さま
    どうぞ、ご参考になさっていただければと思います。

    これらを資料として、作句・鑑賞を軸に進めてまいります。
    川柳とは何か、それをこのブログを通じて発信してまいりたいと思います。
    受講生のかたがたの句がどのように変わっていくか、それにも注目なさっていて下さいね。
    ともに川柳を学ぶ集いでありたいと思っております。

    • 岡本遊凪 on 2021年8月10日 at 2:25 PM :

      たむらあきこ さま

      ご多忙の中、ご返信を有難うございます。
      コロナ禍・猛暑の折、ご自愛下さい。
      よろしくお願い申し上げます。

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