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 「灯台下暗し(とうだいもとくらし)」に通じるところのある英語表現に、ちょっと含みがあるものがあるのね。The nearer the church, the farther from God.(教会に近ければ近いほど、それだけ神から遠い。) 人間の考えることは洋の東西を問わず似通っているということよね。

 上記のことはおいて。ちょっと古い?ことを書くと。仏説父母恩重難報経(ぶっせつ ぶも おんじゅう なんほう きょう)という経(偽経)があるのね。父母の恩に報いるべきという教えを説いているのだけれども。この経は、奈良時代請来とされるものが正倉院に収蔵されており、古くから伝わっているのね。

 この経には、親の恩を十種に分けて具体的に教えている。本文は一般的な経の形式をとり、仏陀が出家・在家の弟子たちに下記のように語ったとしているのね。
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父には慈しみの恩あり、母には悲(あわ)れみの恩がある。人がこの世に生まれるのは、前世の業を原因として、父と母の縁によるのである。気を父の胤にうけ、肉体を母の胎内にあずけるのである。この因縁をもつゆえに、悲母の子を思う心は世間に比べるものはなく、その恩は未だこの世に生まれぬ先にも及んでいるのである。

懐胎守護(かいたいしゅご)の恩
子を体内に受けてから十ヶ月の間、苦悩の休む時がないために、他の何もほしがる心も生まれず、ただ一心に安産ができることを思うのみである。
臨生受苦(りんしょうじゅく)の恩
出産時には、陣痛による苦しみは耐え難いものである。父も心配から身や心がおののき恐れ、祖父母や親族の人々も皆心を痛めて母と子の身を案ずるのである。
生子忘憂(しょうしぼうゆう)の恩
出産後は、父母の喜びは限りない。それまでの苦しみを忘れ、母は、子が声をあげて泣き出したときに、自分もはじめて生まれてきたような喜びに染まるのである。
乳哺養育(にゅうほよういく)の恩
花のような顔色だった母親が、子供に乳をやり、育てる中で数年間で憔悴しきってしまう。
廻乾就湿(かいかんじつしつ)の恩
水のような霜の夜も、氷のような雪の暁にも、乾いた所に子を寝かせ、湿った所に自ら寝る。
洗灌不浄(せんかんふじょう)の恩
子がふところや衣服に尿するも、自らの手にて洗いすすぎ、臭穢をいとわない。
嚥苦吐甘(えんくとかん)の恩
親は不味いものを食べ、美味しいものは子に食べさせる。
為造悪業(いぞうあくごう)の恩
子供のためには、止むを得ず、悪業をし、悪しきところに落ちるのも甘んじる。
遠行憶念(おんぎょうおくねん)の恩
子供が遠くへ行ったら、帰ってくるまで四六時中心配する。
究竟憐愍(くつきょうれんみん)の恩
自分が生きている間は、この苦しみを一身に引き受けようとし、死後も、子を護りたいと願う。
 
これらの父母の恩の重いことは、天に極まりがないようなものである。ところが、すでに成長して他家の女性と結婚すれば、自分たちの部屋で妻とともに語り楽しみ、次第に父母をうとんじて遠ざかる。
敢えて頼み事をすれば、『老いぼれていつまでも生きているよりは、早く死んだほうがよいだろう』と怒って罵る。
父母はこれを聞いて、怨み、惑い、悲しみのあまり『ああ、お前は誰に養われただろう、私がいなかったら誰に育てられただろう、それなのに今となってはこのような目にあわねばならない。お前を生んだけれど、いっそお前など無かったほうがよかった』と叫ぶのである。
もし子にして父母にこのような言葉を発させたならば、神仏の力にすがることもできず、子はその言葉とともに地獄、餓鬼、畜生の中へ堕ちるのである。…
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   以上のような内容を讃(うた)を交えて語らせるのね。
 父母への報恩については、父母のために贅沢な暮らしを用意すればよいわけではないと。結論は、もしいまだ父母に仏、法、僧の三つの宝を信じてもらえなかったならば、父母も不幸と言わねばならないと。このようにして仏道を諄々と説いていくのね。

 わたしはとくに信仰心があるわけではなく、むしろどんな宗教に対しても懐疑的なのだが。上記のような内容はだれにとっても感動的で分かりやすく、聞く者は(身に覚えがあるから?)つい涙をこぼしてしまうのね。

 灯台下暗し。大切なものは、身近にある。自身の父母(や父母につながる祖先)のことにもときどきは思いを致そうではないかということを書いてみたかったのね。(先ほどから救急車が走っているのね。最近とくに多いような気がするけど?)

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