時実 新子(ときざね しんこ、1929-2007)は川柳界のかつての第一人者。岡山県出身。もともとは短歌を詠んでいたのね。17歳で結婚、25歳のとき新聞の川柳欄に投稿を始めたとか。「川柳ふあうすとひめじ」の会に参加、川上三太郎に師事。1963年に第一句集『新子』を刊行しているのね。
1987年刊行の句集『有夫恋』がベストセラーになったことで、全国的に名前が知られるようになった。新子の川柳は情念を率直にかつ激しく表現したものが多く、その作風から川柳界の与謝野晶子ともいわれたのね。2007年3月10日、肺がんで逝去。享年78。同月26日、大阪の天守閣句会でそのことを知らされたのね。その場にいた誰にとっても、川柳界の大きな星が墜ちたという衝撃があった。この年は、8月に大阪の展望句会で前田咲二先生に初めてお声をかけていただいた年でもあるのね。
下記、1996年8月「月刊川柳大学別冊」時実新子の世界 に掲載された「時実新子自選百句」から。一部転載。
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風の駅まもなく電車が入ります
れんげ田を千枚越えて逃げられぬ
どうしても好きで涙が膝に落ち
どこまでが夢の白桃ころがりぬ
もしかして椿は男かもしれぬ
束の間の幸せなれば啼き交す
逃げてきた町で鰯を手掴みに
舟虫よお前卑怯で美しい
昏睡の人にぎっしり木の蕾
まんじゅしゃげは九月の花のその九月
わが胸で伐採音の絶え間なし
君は日の子われは月の子顔上げよ
私の男むかしの服は着せませぬ
ああ肉よモネの睡蓮天に咲く
雨の日のダイヤル通じそうで切る
一つだけ言葉惜しめばまた逢える
わたくしは遊女よ昼の灯を点し
手が好きでやがてすべてが好きになる
死に顔の美しさなど何としょう
裏切りの予感 男の髪多き
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