※2月いっぱいで抄出を終えるため、急いでいます。先生の題詠の作句は、一題につき五句くらいまで。句会の席で詠んでおられたことも。いたずらっぽく笑いながら見せて下さることもあり、そんなときの句は秀句か、そうでないときも上位に入選していました。師弟ではありますが、あきこ選では手を抜いているような句は没にさせていただいた。(編集同人が大会の選者のときには応援に来て下さったのね) そのあとは、手を抜かずに詠んで下さったのね。わたしが選者をお引き受けした大阪川柳大会では、新聞社の選の仕事のあと徹夜で作句、当日会場で意識不明になられるということもありました。(そのときの先生の句は秀句、あとに続く句がなかったのね)
『前田咲二遺句集 平成9年』【30】
それとなく妻のチェックの目が絡む
人生のカーブにナビゲーションはない
花曇り 埴輪の鼻が欠けている
伸びきったあたりでうまく折れる鼻
吐き捨てられた言葉を一つずつ拾う
吸い殻の数がこんなに 待ちました
煙に巻くつもりが尻尾つかまれる
そんなしんどい話はもってこんといて
好きすきと舌が勝手に言うのです
賛成をして風向きを読んでいる
論説委員に出世頭の友がいる
ベトナムを写しつづけた記者の意地
入り相の鐘を菩薩も鬼も聴く
沖縄に空しい歳月が積る
老いらくの恋おろおろとおろおろと
息災の日めくりゆっくりとめくる
コギャルはビールおじさまはウーロン茶
面白くないのでアッハッハと笑う
人質救出リマの時間が動き出す
B面の肌が男を恋しがる
捕鯨禁止の町が小さくなってゆく
ぼた山の町で無口な老鉱夫
橋脚が立ってますます島さびれ
女のいない国へ逃げたくなってくる
虫ピンで弱い男を止めておく
ぼく以外の男に靡くはずがない
インターネットにのせてわたくしを配る
愛妻弁当早い季節が添えてある
悪友の妻に信頼されている
沖縄の渚で悲しみを拾う
母の日へそしらぬ顔の男の子
棒鱈のような男の衣更え
雨男 雨に笑顔でやってくる
影踏みの影がわたしを踏みたがる
一生の半分ほどを酔っている
枕裏返し忘れることにする
少子化へ国の柱が痩せてゆく
殴られた恩師がみんな好きだった
お見事というほかはない逃げっぷり
やがてくる別れを知っている箸だ
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