靖国神社・千鳥ヶ淵戦没者墓苑吟行37句(2018/9/24-25)
靖国神社
答えまだ無い空をつく大鳥居
益次郎像へもうすこしを運ぶ
戦歿馬・軍犬・鳩が濡れている
ジャーマン・シェパードは兵たちの仲間
母の像をしたたり落ちているきのう
神池庭園(しんちていえん)みたま彷徨う
雨後をささやくみたまか風か
パール博士顕彰碑から封を解く
湿りがとれぬ霊璽簿(れいじぼ)の和紙
霊璽簿はきっとむなしさにじませる
みたまからのかぜに喪失感がある
改称のあと遠くなる招魂社
御親拝のことに触れえぬかぜばかり
二百四十六万六千余柱
殉じたことへ口惜しさときにコダマする
鎮まっているがのっぺらぼうでない
龍馬・松陰・晋作・左内 息づかい
祀られる志士の時代へまぎれ込む
英霊の遺書を書簡を ぬけだせぬ
社頭掲示の遺書のこころが触れてくる
英霊の言乃葉 雨に雨をたす
標本木あたりの沈黙と契(ちぎ)る
遊就館に無惨をひろうひとつずつ
人間魚雷「回天」のやみ
神門の菊花紋へと巻きもどす
母の像の母の寡黙を聴いている
雨音にまじる国靖(やす)かれの念
千鳥ヶ淵戦没者墓苑
聖苑までの径 鬱蒼をぬけてゆく
きのうの重さ 陶棺の遺骨
戦域にひろわれた 陶棺の材
影へ影かさねる戦没者墓苑
びっしり人の顔がある葉と葉の間
楠(くすのき)から欅(けやき)から貌(かお)だすみたま
六角堂のかぜにまぎれている呻き
御製(ぎょせい)の碑ふたつをかぜが行き来する
一輪をたむけ 千鳥ヶ淵に凭(よ)る
その果てのあゆみをかぜに問いかける
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