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前田咲二特集(川柳マガジン「柳豪のひとしずく№015」)より28句
四季の花いっぱい挿したあばら骨
自画像に焼酎お湯割りを飾る
わたくしの干潟が満ちるまで遊ぶ
遊ばれているなと思いつつ遊ぶ
黒木瞳が死んでと言えば死ぬだろう

茜色の空を手繰っている夕日
寿命との追っかけっこはやめにする
モザイクをかけて余生を漂わん
ちらほらと春の訃報に紛れんか
いい人生でしたと母に言うつもり

柩の中で顎が外れるほど笑う
十一桁をわたしの戒名にしよう
男ひとり皿を汚さぬように食う
日本語はいいね「一杯やりますか」
信号の赤にまたかと睨まれる

行方不明の刻を聚(あつ)めている夕日
円周率3では丸くなれぬ月
天皇家にも言い分があるだろう
軍隊とはっきり言えば楽になる
靖国参拝するしないするしないする

少年兵の骨も藻屑と呼びますか
靖国で会う約束があるのです
切っ先をいつも自分に向けている
落日よときには叫んだらどうだ
水の底を水が流れている輪廻

首はまだついているかと風に訊く
萎えてゆく目にくっきりとキノコ雲(※先生は江田島の海軍兵学校で終戦を迎えられたので、原爆のキノコ雲を目撃しておられます)
ヒロシマの焦土を踏んだ足のうら

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味わい深い、正統派の川柳‥前田咲二特集(川柳マガジン「柳豪のひとしずく№015」)より28句”にコメントをどうぞ

  1. 前川奬 on 2018年9月11日 at 2:53 PM :

    たむらあきこ様
    ご紹介の28句、半分ほどは初めて目にする句です。
    28句いずれも川柳とはこういうものを言うのだ、
    と教えられました。
    ありがとうございました。
    前川奬

  2. たむら あきこ on 2018年9月11日 at 11:12 PM :

    前川奬さま
    先生は短詩型文芸の天才。
    流行りの、ただことばを操っているというような句ではなく、からだの芯から「吐く」ように句を詠まれました。
    したがって句は味わい深く、読むほどに前田咲二という〈にんげん〉の虜になってしまうような、そんな魅力のある句なのね。
    先生はとても鷹揚で、これらの句も「そちらで適当に選んでおいて」くらいで、新葉館さんの方で適当に(笑)選んだものと思います。
    先生を超えるようなかたは川柳界にそうそうおられるわけではありません。
    短歌や俳句もふくめ、横綱の創作の全貌がこれから明らかになりますので、どうぞお待ちください。(あきこもドキドキしながら、愉しく待っているのね)
    たむらあきこの全力で選句にあたりたいと思います。

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