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 〈名披露目大会ミニ知識〉として「川柳はいふう№8」に「前句付について」(尾藤川柳)としてまとめられているので、みなさまの参考になるところを抄出(させていただく)。
【巻 まき
 さて、文台の上に置かれている「巻」とは、当日の入選句を下位の句から認め、次第に上位句になるように書き並べた選者自筆の和綴じ帖である。
 今回は、「番抜」といって、集句から五十章を位付けした、「壱番」が最上位で、天地人制で言えば「天位」ということになる。以下、「弐番」「三番」と順に番号を振る。…
 上位の句のうち三番までを「三番内」といい通常の三才として位置づけ、それに五客を加えた「八番内」を今回の秀逸とした。一般的には「十番内」というのが、上位句の位置づけである。
 九番以降は、内容によって「高番」「中番」「末番」の順に番号付けをしている。
 「高番 こうばん」は、歴史や故事、神話等をテーマにした作品のこと。「中番 なかばん」は、世帯人情の機微で、いかにも川柳らしい面白さがあり、後に伝統川柳の視野として定着していくことになる。「末番 すえばん」は、恋や世話事、買色や卑猥、汚きものをテーマとしたもので、その内の一番際立ったものを「大尾 だいび」といって、ひとつの手柄となる。
 巻には、下位の句、すなはち大尾から認められ、さいごが壱番の句。この句の作者は、名誉としてこの選者直筆の巻を手中にすることを許される。これを「奥抜落巻 おくぬきらっかん」という。
 壱番の句の後には、選者吟すなはち「軸吟 じくぎん」が書かれることがある。
【開巻・披講】
 入選句発表を「開巻」という。古くは、巻物状であった事から、巻を開くということであり、選者の作品である「軸吟」も巻軸に最も近いことから名づけられたもので、その名残りともいえる。
【前句付と奥抜落巻】
 前句付においては、「前句」と「付句」の響き合いが選考のモノサシとなり、直接「賑やか」と読み込んだ句は、「付き過ぎ」として選考対象外である。…
 この度の前句付で「壱番」を射止めたのは、保坂三蔵氏の句、
  慰安婦も何故か明るくデモに立つ 保坂三蔵
 であった。
 単に賑やかな事象を句に仕立てたのではなく、「慰安婦の賑やかさ」という本来は儒教の恥の文化において隠されていても当然な部分が、一種異様な社会現象としての賑やかさをもって露出している現状を捉えている。
 現代性、批判性に富んだこの一句は、他のどの句よりも新鮮味があり、新しい作品として輝いていた。
 競吟は、句会の遊びの面もおおいにあるが、時としてこうした時代を抉る一句も生まれる。選者としてこの一句との出逢いを嬉しく思った。(以上原文ママ)

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