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誌上競詠「咲くやこの花賞」28年度 第12回 (最終回)「溢れる」 小島 蘭幸 選

 yjimageP06XJH19物が溢れているこころ枯れている 小島 蘭幸

お笑いください涙あふれて止まらない 前田 咲二

無縁墓地溢れて空っぽの日本 石橋 芳山

喪の帯を解けばあふれてくる涙 荻野 浩子

ため息に沈んでしまう星条旗 中前 棋人
思い溢れて象形文字になりました 吉道あかね
白桃のどこか溢れているような 吉松 澄子
風呂敷から溢れた豊洲地下水 深谷江利子
あふれ出るしあわせ溢れ出る母乳 宮﨑美知代

介護した人はそれほど泣かぬ通夜 鳴子 百合
腕白時代の遺産溢れる知恵となる 竹内いそこ
トレモロが溢れるところから発芽 村山 浩吉
アイデアが溢れて困る午前二時 猫田千恵子
夜行バス降りると溢れ出す訛 大野たけお

淋しさに私の未熟溢れ出る 宮﨑美知代
神は何故ヒト科に涙与えたか みぎわはな
ひらがなの母のメールの花吹雪 菊池  京
両の手にあふれるものの重さかな 嶋澤喜八郎
溜めていた言葉溢れ出す二歳 安藤 なみ

過疎の里にやさしさが溢れている 新家 完司
溢れるもの抱いてる書きとめたポエム 荻野 浩子
たっぷりの余白あふれるものを抱く 山岡冨美子
難民の溢れた舟に神も乗る 星出 冬馬
触れないで水位はとうに越えている 菊池  京

夕焼けに故郷の絵が溢れ出る 稲垣のぶ久
象の目の哀しみ海になってゆく 森吉留里惠
独り言ポロリ溢れてきたらしい たむらあきこ
かあさんのところでいつも溢れだす 安井 茂樹
つぶやきがこぼれ続けて海になる 中前 棋人

愛が溢れる平常心に戻せない 大内せつ子
手のひらから溢れてしまうのが春で 安井 茂樹
こめかみに溢れた悔いが透けてくる 上嶋 幸雀
思春期の溢れるものを抱く両手 岸井ふさゑ
空と海溢れわたしを抱きしめる 古田 祐子

富士の山ぐらり盃から溢れ 岩根 彰子
学のない母にあふれていた頓智 小林すみえ
情報が溢れて五感錆びてくる 小林すみえ
生き物の吐息溢れている地球 小原 敏照
電子音増えて耳鳴り止まらない 合田瑠美子

画用紙から春が溢れるクレヨン画 岸井ふさゑ
捨てるものばかり溢れているわが家 岡本なぎさ
涙一滴ホットミルクが溢れだす 大内せつ子
才気溢れる釘は斜めに打っておく 高浜 広川
休耕田売って号泣した老父 三宅 保州

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