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 堺市の堺番傘川柳会、そこの柳誌「ちぬ」に月例句会の前月課題(2句出し)の佳句に対する鑑賞文が掲載されている。その欄を長く日野愿さんが担当しておられた。そこにずっとほぼさいご(止め)に掲載されていたのが、あきこの句。愿さんの鑑賞文は的を射ていて、拙著『たむらあきこ千句』に許可を得て転載させていただいた。
 下記は未転載の鑑賞文、順に課題「独り立ち」「トレモロ」「ついつい」「花形」。別の機会にもまたアップしてみたい。あきこの句をほぼ読み切っていただいたと思う(川柳界の第一人者)尾藤三柳師、(東の横綱)前田咲二師、日野愿さん。みなさま故人となってしまわれた。

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「独り立ち」
わたくしの独りは鰯雲のなか
 群れに居て群れず、「鰯雲」の一片であっても、「独り立ち」している「わたくし」なのである。やがては離れ雲となるのかも知れぬ。孤は屹立していくもののようである。
紙と鉛筆あって独りも立ちきれる
 文芸(紙と鉛筆)の道は百花繚乱であるが、百花はみな「独り立ち」している。川柳作家として並々ならぬ決意を表した句。
「トレモロ」
葱刻むトレモロぼくの台所
 葱を刻むときの俎板の音ほど朝を明るくするものはない。寡夫が立てても少しも物悲しくはない。
「ついつい」
つい過去が糸ひく独り居の時間
 過ぎ去った出来事や思い出はもう忘れようとしているのに、それが意に反して影を落としてわたくしを束縛しようとする。独りで居るときはそれがいっそうであるという。現在を生きていく哀しさをひしひしと感じる句。
「花形」
抜け殻にきのうの華すこし香る
 あんなにも輝いていた「花形」も逝ってしまった。(抜け殻に)わずかの香りだけを残して。華やかなものが亡びゆく哀れさをしみじみと詠んでいる。「すこし香る」の句またがりが哀れさを強く表していると思う。

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