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ピースボート川柳講座🚢                              講師:たむらあきこ

時実 新子(ときざね しんこ)、1929年1月23日2007年3月10日)は、日本川柳作家、随筆家。現代川柳の一時代を築いた人物として知られる。岡山県上道郡九蟠村(現・岡山市東区西大寺)出身。
経歴
1975年、個人誌『川柳展望』創刊。1981年姫路市民文化賞受賞。1987年、句集『有夫恋』がベストセラーとなり、女性の川柳愛好家が激増する。1995年、神戸新聞平和文化賞受賞。1996年、「川柳展望」を終刊とし、新たに『川柳大学』創刊。2001年神戸市文化賞受賞。2007年3月10日午前5時15分、肺癌のため神戸市の病院で逝去(享年78)。

【鑑賞】時実新子&たむらあきこ各15句 

時実新子
あかつきの梟よりも深く泣く
ののしりの果ての身重ね 昼の月
あなたから私を剥がすときの音
ピストルの形に残るパンの耳
ころがしてころしてしまう雪だるま
白い花咲いたよ白い花散った
いちめんの椿の中に椿落つ
茶碗伏せたように黙っている夫
妻をころしてゆらりゆらりと訪ね来よ
熱の舌しびれるように人を恋う
愛咬やはるかはるかにさくら散る
まじまじとみつめてこの人も哀し
一束の手紙を焼いて軽くなる
片方が生きているから生きる靴
うららかな死よその節はありがとう

たむらあきこ
乱調も足さねば生が錆びてくる
石のほどけるまでを独りの旅にいる
モノクロの月にきのうが照らされる
藪椿すこし妬心を覗かせる
すこし灯を落とし独りを倦んでいる
わたくしの独りは梟に戻る
接触のわるい男と月の下
梟のいつか翳ってきたながさ
浮雲かわたしか 漂流の途中
叶うならあなたにわたくしを植える
どう閉じてみても楕円になっている
ふり向きもせずに祝意を避けられる
言い訳の脈が隘路に入り込む
わたくしのかたちを彫ってきた時間
静謐が届くきのうの柩から

【時実新子のことば】
★川柳は格言ではない。したがって人生訓を敵とする。句によって訓戒を垂れようなんて考えないことだ。(1975年 川柳展望)
★句は平凡に詠って非凡であること。(1992 現代川柳)
★川柳は「もう一人の自分が自分を見る」という自己客観の文芸である。(1992年 新子座´92)
★文芸は夜生まれる。つまり、心の中に夜(ひとりの世界)を持つことが大切。(1995年 新子流川柳入門)
★どこまで脱皮しても蛇は蛇。新子は新子。(1995年 咲くやこの花)
★「なめらかさ」こそが律です。リズムです。韻たるところです。(1995年 新子流川柳入門)
★膨らませる為の省略。(1996年 川柳大学)
★常識を半歩出る。(1996年 川柳大学)

【実作&添削】 さあ!川柳を詠んでみよう お題:「独り」もしくは「家」
例: 口下手な父が本音のひとり言 倉永みちよ
①  ②  ③


ピースボート6月3日集句

aいつもそばにいてね風になった夫
添 風になった夫よいつもそばにいて

b妻ゆきて一人食べるはものがなし
このままで

〇cひとりごと聞いてくれるは猫ばかり
このままで

d風の音聞いているのはものがなし
このままで

e船という大家族の中の独り旅
添 船という大家族の中独り旅

f大航海風受け船酔い大後悔
添 大航海か大後悔か船の旅

g彼の岸の君のほほえみまだ行けぬ
添 彼の岸にきみのほほえみ まだ行けぬ

h泣ける日がいつくるだろう千の風
このままで

i千の風貴方船まで吹いてきて
このままで
参 千の風あなたと亡夫(つま)に呼びかける

j海と風空に包まれ深呼吸
このままで

k何食べるひとりで向かう十四階
このままで

l風とすもうのデッキの散歩
このままで

m毎日海デッキにもたれて風を待つ
添 毎日海デッキにもたれ風を待つ

nさみしさもまるごと飲み込む一人飯
添 さみしさも飲み込んでいる一人飯

oガラス戸にうつる独りの顔ありて
添 ガラス戸にうつるさみしさ独りの顔

p大風に身をかがませてかんぱんを
このままで

q終わりかけひとり生きるか残ってる
添 このさきひとり独りをいかに生きようか

〇r独り言いって一人と気づく夜
このままで

s眠られぬ夜は他人のせいにする
このままで

t風になる時を逃さぬ様に生き
このままで

u飛ばされても歩むデッキの風 大西洋
添 風に飛ばされても歩んでいるデッキ

v一人部屋咳こむ声が響く夜
このままで

w一人言増えてもいいの話したい
添 ひとりごと独りのぼくへ話すぼく

x風をゆけ重い記憶を引き連れて
このままで

yマンデラの思いが風にのってくる
このままで

z霊柩車いつかわが身とひとりごと
このままで

ⓐ夫婦旅一人の時がくつろげる
このままで

〇ⓑ船の上頬を流れる風涙
添 船の上なんの涙か頬つたう

Ⓒ夕焼に明日のひとりをしみじみと
添 終(つい)のひとりをしみじみおもう夕焼けに

ⓓひとり生きひとり逝くことさだめかと
このままで

ⓔ旅の空ひとり逝く日をおもいつつ
このままで

ⓕ南極の風に追われて北へ行く
このままで

ⓖひとりづつ荷を背負うクルーズ仲間
添 仲間みなそれぞれに荷を背負う 旅

ⓗ送るべき人皆送り次は我
添 送るべき人皆送りつぎはぼく

ⓘ忘れまじ独りになるとも膚のぬくもり
添 独りになるともきみのぬくもり忘れまじ

ⓙ風を切るデッキの二人何を思う
添 風を切るデッキの二人何思う

ⓚ風薫る母の墓前にアスターの花
添 母の墓前にアスターの花風薫る

ⓛ泣くまいと急いだ夜道影ひとり
添 泣くまいと急いだ夜道影ひとつ

ⓜシャボン玉手を出す子らに風ふわり
このままで

ⓝせまくともくさくてもいいひとりべや
このままで

Ⓞしっこくのデッキに出てひとり大西洋におはよう
添 海へ朝の挨拶漆黒のデッキ

Ⓟ一人寝になれず朝日うらみます
添 一人寝に慣れず朝日をうらみます

ⓠ毎日の自堕落体重比例する
添 毎日の自堕落へ体重比例

〇ⓡ独りじゃないぶつかれるから決めた結婚
このままで

Ⓢいつの日かひとり旅立つはかなさよ
このままで

〇ⓣひとりごといつものくせだやるせない
このままで

ⓤ生きているすがしい風に揺れながら
このままで

ⓥ風よりも船足勝れひた走る
添 風よりもはやい船足ひた走る

ⓦ手を洗いひとり下着を干した夜
添 手を洗いひとりの下着干している

Ⓧひとり言増えた気がする船の旅
このままで

ⓨ咬み犬も土になったよ風の庭
このままで

ⓩまた乗った君を残して自分だけ
このままで

ア喜望峰バスコダガマの苦労知る
このままで

イひとりまだ恋の楽しみ船旅か
添 ひとりまだ恋のたのしみあるか 旅

添ː 講師添削

たむらあきこプロフィール
日本現代詩歌文学館評議員。
読売新聞和歌山版「よみうり文芸」選者。名草川柳会 講師。元しんぶん赤旗「読者の文芸」選者、耐久生涯大学川柳専科講師。
著書に『たむらあきこ川柳集2010 年』、『たむらあきこ千句』、『川柳作家ベストコレクシ ョンたむらあきこ』、『たむらあきこ吟行千句』、『令和川柳選書よけいにさみしくなる』ほか『前田咲二の川柳と独白』(監修)

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