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 去年、NHK学園の島田駱舟氏からお電話をいただき、『NHK学園 川柳春秋』の「一人10句」欄に載せる句を依頼された。そのとき、送ってきていただいた前号のおなじ欄に、川柳塔社の八木千代氏の、下記の10句が掲載されていた。
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    あさきゆめみし     八木 千代
  この沢に生まれて死ぬる蛍一族
  産卵を始めるてのひらの蛍
  この身より出でて何処となく蛍

  あと追うて蛍の宿を尋ねたや
  橋渡るときいつもためらうものがある
  山を見て秋の呼吸に戻るなり
  あさきゆめみし道のりの深きゆえ
  大根を煮るときめきを失わず
  淡々と画くけものをもほとけをも
  生き生きて死にかわるのも愉しみな
…………………………………………………………………………………………………………………………
 柳歴45年の大先輩の10句を、くり返し味読させていただいた。川柳塔社にこういう句を詠まれるかたがおられるのかと思った。いままたおなじことを思う。
 7日、川柳塔本社12月句会におじゃましたとき、受付で販売されていた『椿抄』を、ためらうことなく購入させていただいた。1999年に第一句集『椿守』を上梓しておられるので、その「抄(しょう:抜書き)」ということだろう。わずか100句。その中からさらに選ばせていただいたのが下記の13句。
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    潮騒を連れてこの世の月が出る

    とりあえず門のかたちに石二つ
    木の机 鳥の匂いがしてならぬ
    今はたましいの時間で月の下
    書きすぎぬように大事なひとに書く
    花びらの重み一枚ずつ違う
    はらわたに疵がいっぱいある魚
    笹に吊すあさきゆめみしゑひもすと
    流れるものを見ている拾えないでいる
    哀しみを移す寝返り打っている
    結界をくぐり抜けても風の原

    同じ顔している猿と猿回し

    わたくしの中を通って咲く椿    

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八木千代句集『椿抄』を読む”にコメントをどうぞ

  1. りょーみさすけ on 2012年12月11日 at 9:32 AM :

    難しいものー「人間」・とかく複雑なのは人間に尽きる。
    欲しいものー「時間」・難しいことを解くには時間がいるのです。
    必要なものー「自分」・もう一人の自分がいることを知っている自分。
    難しいことー「川柳」・・この世の出来事すべて川柳なのだ。
    575の世界で最も要求されるものは、洞察力、表現力、説得力でしょうか。だから川柳は難しい。とはいえ、千代さんの句ーすばらしい!!

    • あきこ on 2012年12月11日 at 4:32 PM :

      りょーみさすけさま
      >千代さんの句ーすばらしい!!
      はい、いいですねー。川柳塔もいろいろな作家がいて、それぞれの持ち味があります。
      でも、結局は、いくらも句は残らないですね。欠点が見えてきます。それほど川柳(短歌も俳句も)の非の打ちどころがない一句が難しいということですね。(もちろん私の句もねー)

  2. 竹内いそこ on 2012年12月11日 at 9:04 PM :

    本当に素晴らしい句ですね。
    いい句を読むことが大事だと思っていましたが、いい句を探して読んでみることも大切なことなのですね。
     深く沁み入りました。

    • あきこ on 2012年12月11日 at 10:01 PM :

      竹内いそこさま
      はい。大先輩の100句からさらに13句を選ばせていただきました。
      いまの川柳塔の、みなさま(私も含め)が思っておられる「川柳塔的な句」とは随分違いますよね。
      これからも、先人の句からも、私の眼でこれと思う句をピックアップしていきたいと思います。

  3. 高杉千歩 on 2012年12月12日 at 11:00 PM :

    師走に入りました。
    ブログ!いつもお邪魔させて頂き有難うございます。

    「椿抄」 13句 有難うございました。

    千代さんが喜ばれると思います。 私も送って頂き感動して千代さんと電話でお喋りしました。 米子とは深いご縁で伺い又よくご一緒に旅もしました。
    今一度、読み返して私の思いと、この13句と合わせたいと思っています。
    歳晩となり、益々お忙しい日々をお過ごしですが、お身体お大事にお過ごし下さいませ。

    • あきこ on 2012年12月13日 at 7:48 AM :

      高杉千歩さま
      『椿抄』。13句とも詩性川柳です。私の川柳とも近いものを感じました。
      このかたが川柳塔社同人だということは、驚きですね。この13句がつくっている世界は、読まれたかたを虜にすると思います。
      ますます厳しい冬に入りますが、くれぐれもお身体に気を付けて下さいね。ではまた。

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