2019/9/17 九十九里浜(智恵子抄)吟行20句
智恵子抄へと巻きもどす針
光太郎智恵子の砂を噛みしめる
波がしら崩れきのうをだしてくる
すこしずつ病が鬼の貌をだす
平衡をくずしたきみが重くなる
チ、チ、チ、チと千鳥へ啼き真似をかえす
それからの雪崩が砂に落ちている
きのうのやみひとつが砂を暗くする
笑みかわす二人を病遠ざける
あれは千鳥だったか智恵子泣く声か
あれもこれもゆめ手のひらにのる重さ
かなしみの定位置いしぶみに触れる
智恵子なのだろうか松籟かもしれぬ
智恵子はさかな昏(くら)い狂気を泳ぎだす
かくれんぼ ぼくが残っているこの世
ふたりからひとりへ終(つい)のかくれんぼ
触れえぬ智恵子がぼくの周りで跳ねている
傾ける耳にとどかぬ智恵子の叫び
愛を覚えていますか波よ松籟よ
なめろうのなかにも哲学をさがす
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