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 一年間担当させていただいた「川柳クリニック」も今回が最後。表層ではない、人間存在の根幹に関わるところまで掘り下げる川柳の追求こそが、文芸を通しての自己実現につながるものと思います。どうぞご一緒にこれからもがんばってまいりましょう。ありが とうございました。(たむらあきこ)

原 続編があって締めてる靴のヒモ  宮本 信吉
 わずか十七音にどれ程の内容を盛れるかが作句力。「締めてる」の〈い抜き〉が気になる。
添 続編へきつめに締める靴のヒモ

原 アクセルを踏んで離さぬ高齢者  岩淵  武
 単に車だけのことではなく、頭の固くなった「高齢者」にありがちなことへの暗喩ととれる。
添 踏み込んでしまうアクセル高齢者

原 実りある暮しをせよと砂時計  松田 眞弓
 歳月の速さを「砂時計」に教えられているということだろう。
添 ぼくの怠惰諫めるように砂時計

原 一人じゃない病んで感謝と恩返し  松本 理子
 「感謝」と「恩返し」のどちらかを省略、または内容に詠み込む。
添 独りじゃないと教えてくれたのは病

原 打ち水も八%の税の水  柳村 光寛
 「八%の」の「の」は無くても。
添 打ち水も八%税の水

原 名前負けしないためにも勇気出せ  トニー荒川
 「出せ」の命令形が気になる。
添 勇気出さなければ名前負けになる

原 面白いことは三面記事になる  すずき善作
 「三面記事」は「面白いこと」だけではない。
添 三面記事ににんげんが跳ねている

予備句

原 切り札は出さずに終焉迎えたい  奥田 悦生
 何への「切り札」かが分からない。添削句、内容は逆になるが。
添 ぼくの終焉へジョーカー取っておく

原 現地集合流れ解散蛍狩  岩﨑 政弘
 事実だけでなく、作者の思いを詠み込む。
添 蛍狩ぼくもひととき蛍になる

原 クイズだと思えば試験など楽し   小田 慶喜
 「など」は「でも」。
添 クイズだと思えば試験でも楽し

原 遺恨抱く玉葉の葉っぱ剥がれない 
 「玉葉」はメキシコ原産の多肉植物。「遺恨抱く」が面白い。
添 遺恨のように玉葉葉っぱが剥がれない

原 改憲へあの手この手で誘い込む  大和 峯二
 このままで。

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